プリント&乾燥後のインク落としの注意点

今年も既に12月。良く言われる事ですが、年を取ると時間が経つのが早く感じられ(笑)今年も「もう」ひと月を切ってしまいました。
北海道もようやっと雪が降ってきて、一昨日、昨日は日中営業に出ると、パトカーや救急車の姿を度々見かけます。あっちこっちで滑ってぶつかっているんでしょうか・・そして今日も大雪です(涙)

北海道の場合、津軽海峡と言うワンクッションが有るため、物流に1日多くかかってしまいます。プリントに失敗してしまった場合、納期が差し迫っていると、この1日が大ピンチを招きます。メーカーからTシャツやポロシャツやなどを新たに取り寄せようとしても、1日多くかかるが故に納期に間に合わないかもしれない(悲)
そこで、プリントミスした部分、あるいは全部(笑)を綺麗さっぱり元通りに戻せないものかと悩む訳です。

そもそも、スクリーン印刷のインクは、一度完全に出来上がってしまったら「落とせない」というのが建前です(笑)
しかし、昔から「形あるものは壊れる」とか言うじゃないですか(笑)

普段からきちんとした仕事をしていると、こういった際に余計に悩まなくちゃいけなくなるんですが。そもそも、きちんと密着させてしまったんですから、容易に剥がせるわけがない。
逆に、普段から適当な仕事をしているつもりじゃないけれど(笑)適当な資材を掴まされているのに気が付いていないと、容易に剥がれちゃったりしますが(笑)

溶剤型のインクは、インクの成分である溶剤が被印刷物を溶かしながら、そこへインク樹脂分を充填して硬化します。ですから一度完全乾燥してしまうと元通りに剥がす事はできません。インク自体を除去する事はできても、破壊された部分は元通りにならないからです。
これに対して、純粋な繊維製品であれば元通りに除去・復元する事が可能です。「純粋な」と言ったのは、防水・撥水加工されているものなどは、この防・撥水成分まで除去してしまうので完全には復元できないという事です。

繊維製品に使用されるインクは何種類かありますが、それぞれに適した薬剤が有ります。あんまり深く考えずに(笑)除去する事だけを考えれば、相当数の候補が有るんですが、使う側の観点から言えば次のようなものでなくてはならないと思います。

  1. 安い(笑)
  2. 簡単に使える
  3. 危険じゃない

これって、1と3はトレードオフの関係で「安いと危険」「高いと安全」(笑)
なぜ3番だけ太字にしたのかと言いますと、経験上安全と思って使用しているというだけで、情報を発信しているかたがいらっしゃるからです。

大雑把に言えば、水でなければなにがしかの成分を含んでいる訳で「絶対安全なの?」と聞かれれば「そりゃぁ、マスクはした方が良いし、手袋もはめた方が良いに決まってます」とお答えします。
ただ「災害」が発生する可能性が有るものや、人体に著しい症状を表す可能性のあるものは当然お勧めできません。「それ使ってて、何が起きても知らないよ」と言える訳では無いので。

代表格だけ一つ説明します。

アセトン

聞いたことが有る方も多いと思いますが、アセトンはケトン類の一種で、主な性質を挙げると

  • 樹脂を破壊する
  • 種類の違う2種類の液体を混合する際の仲立ちをする

という性質が有ります。印刷インクだけでなく、頑張れば感光乳剤の除去、すなわち落版剤にもなり得ます。これって便利です。

しかし、次のような性質も併せ持っています。

  • 常温でも揮発性が高い
  • 引火点が低い

たったこれだけですが、実際にはどんな危険性が有るのでしょうか?というと

  • 近くに熱源があるところで使用すると発火(火災)の危険性がある。ちなみに静電気でも発火する場合がある。(粉末消火剤でなければ鎮火できません)
  • 蒸気になりやすいので目や呼吸器から人体に入り込むと様々な症状が現れる(めまい・頭痛・気管支炎)

ちなみにガラス瓶などに密閉して保管すると、容器内で膨張して破裂する恐れも有ります。

以上は、あるお客様から相談されたことを元に書きました。「ある方の勧めでアセトンでやってるんですけど」とおっしゃるので、上記の説明をしたうえで「おやめになったほうが無難だと思いますけど」と言いましたが、内心は「こんなことを勧めるなんてどこのどいつだ!」という思いでした。

前にも書いた覚えが有りますが、

某国性のフラッシュドライヤーを輸入したまま販売している先がありました。購入した方からご相談を受けてびっくりしたのですが、

「つないでいるコンセントから煙が出てきて危うく火事になりかけました。そこで購入先に連絡したら、電気製品は保証外ですの一言でした」

・・・・・

その機種は弊社も以前に検証してみた事のある機種でしたから、どこに不備があるのかを把握していました。正直「訴訟起こしたらどうですか?」とお話しましたが、そこまですることすらばからしいとの事でした。あ、先のアセトンの例とは別件ですが。

ヤフーオークションなどで「ジャンクですのでノークレーム・ノーリターンで」という出品が有りますが、それは中古品で購入先もそれを承知の上だと思います。私自身はそんなの大嫌いですが。

先の2例は、ほとんど法律問題にまで発展しかねませんからね。そういえば学生時代、法律を専攻していたあたくし(笑)学生時代から煙草を吸っておきながら(笑)もう時効だけど(笑)

 

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隠蔽性の違いはなぜ起きるかー被印刷物(シャツなど)の仮固定がきちんとしていない

「隠蔽性の違いはなぜ起きるか」シリーズですが、これまでの2つはこれまでもこのブログに度々書いてきた事です。そして最初に書いているという事は、多分(笑)中でも相当重要だからです。

 

シルクスクリーン印刷は、どのような被印刷物に印刷する場合でも、被印刷物をなんらかの方法で仮固定しなければなりません。

仮固定の方法は色々ありますが、一般に良く知られているのは、スプレータイプの接着剤によるものですが、他の方法を列挙すると以下のものがあります。

 

1.(スプレータイプの糊)

2.幅広の両面テープ

3.水性エマルジョンタイプの糊

番外.バキュームテーブル

 

番外のバキュームテーブルとは、ステンレスなどの刷り台の表面に均一に小さな穴が開いており、内部から空気を吸引して刷り台に被印刷物を吸着します。

この方法は、紙やPETフィルムなど、薄物を印刷する場合に使用されるもので、繊維製品の印刷には使用できません。

 

さて、1から3のどのタイプにしても、共通して言える事は、糊の成分は使用している間に、どんどんと劣化してしまうという事です。それも、相当早い。

特に1は商品によって糊の接着力の強弱はあるものの、綿100%ならいざしらず、ポリエステル100%はほとんど接着する事はできません。

また、水性バインダーならまだしも、プラスチゾルインクなどを使用する場合は、中間乾燥機などの影響でプリントボードが帯熱してしまいます。スプレー糊の多くは熱に弱く、接着力は極端に劣化します。

※逆に熱を加えることで接着力が増すスプレー糊もあります(ホットTAC)。

 

また、スプレー糊の一番の弊害は、室内のあちこちに飛び散り、知らず知らずの内にほこりなどがこびり付いてしまう事でしょう。

この点では、飛散の無い幅広の両面テープを使用するのも一考です。こういった商品にも粘着力の強弱がありますから、より粘着力の強いものを選ぶべきです。

ただ、これにも欠点があります。表面の粘着力が弱くなり、取り換える場合に、刷り板との接着力は弱まっていないため(むしろ熱で強くなっている場合もあります)、交換のために刷り板からはがすのに一苦労するという事です。

3つ目の水性エマルジョンタイプの糊ですが、塗る際に筋目が残らない様に気を付ければ、これが一番のような気がします。

ただ、惜しい事に、こういったタイプの糊は、効果が無くなっても糊の膜厚が減らない事です。一般的に「地張り剤」と呼ばれる商品がこれに当たりますが、こういったタイプの製品は熱に弱いものが多く、これは前述の通りです。

 

くどくど書いて来ましたが、仮固定がしっかりしていないと次のような問題が起きます。

イ)版離れが悪くなるため印刷の隠蔽性が足りなくなる

ロ)多色刷りがずれてしまい「毛抜き合わせ」はほぼ困難

ハ)印刷にムラが起きる

 

ここまでに解決法はなんら提示しておりませんが(笑)弊社の製品これらをすべて解決します。要は宣伝になってしまうので謙虚にしていたのでした(笑)

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ちなみにアメリカの製品に「パレットボンド」という製品が有りますが、弊社の製品とは全く別物です(笑)

 

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「シルクスクリーン印刷」とは1

「シルクスクリーン印刷」と言うと、皆様はまず最初に何を思い浮かべるでしょう?

 

道具としては「〇〇くん」でしょうか?

印刷された製品(商品)としてはTシャツですか?

 

シルクスクリーン印刷を一言で言い表すと「孔版印刷の1種」となります。

では、何故「1種」なのでしょうか?

インクが通る道を必要な部分にだけ作り、そこからインクを通して印刷する技法を「孔版印刷」と言いますが、シルクスクリーン印刷はまさに「孔版印刷」ではなかろうかと思われます。

しかし、シルクスクリーン印刷を正確に表現すると以下のようにならなければなりません。

「孔版を通してインクを通す際に、版と被印刷物との版離れとインク返し(孔へのインクの充填)を利用して、できうる限り多く通過させる。そして、インクが通過する際には、インクを内部回転させ印刷ムラを最小限に抑える手法」

なんと長々とした説明でしょうか(笑)でも、これが正解。

時々「インクを塗る」という表現をされる方がいらっしゃいますが、シルクスクリーン印刷は「インクを落とす」もしくは「通す」という表現が正解でなくてはなりません。

シルクスクリーン印刷に携わっている方が初期の段階で躓く原因は、概ねこのシルクスクリーン印刷の原理原則の部分が大きく関わっています。

特に、繊維製品など、被印刷物の表面の平滑性があまり無い材料への印刷は、その材質の非平滑性に加え、使用するインクの粘度・性状によって、印刷ムラや印刷エッジの滲みなどの問題は起きずらく見えます。

しかし、非繊維製品(木・金属・PVC等など)に刷るインクは粘度が低く、加えて材質の平滑性ゆえに、印刷ムラや印刷エッジの滲みを絶えず気にかけねばなりません。

シルクスクリーン印刷の必要条件を要約すると以下のようになります。

「適度なテンションを持った刷版により、版離れを実現する」

他にも被印刷物に適した(密着する)インクを選定しなければならなかったり、インクを落とす際に使用されるスクゥイージィの硬度など、大切な要件が有りますが、シルクスクリーン印刷の一大要件を「まず」満たさない場合には、後々様々なトラブルが起きる可能性を秘めることになります。

逆に言うと、トラブルが起きた際にはこの点に戻ってみることが大切です。

 

「べったり版をくっつけていても綺麗にすれているよ」とか

「インク返しなんかしないよ。熱乾燥インクだから版はつまらないし」

とおっしゃるのであれば、それはそれで良いのです(笑)

ただ、シルクスクリーン印刷の原理を理解しないで、資材や機械を販売する業者は信頼に値しません(笑)

 

「綺麗に刷れている」かた正しい方法、なのではなく、正しい方法を理解して刷っているから綺麗になるのであり、

「版が詰まらないから」正しい方法、なのではなく、正しい方法を理解して版を使用しているから詰まらない、

のでなくては、いつかトラブルが起きた時には全く対処ができない事になります。

 

「なかなか濃い印刷ができない・・・」と悩んで、インクをあれこれ探した事が無いでしょうか?

正常なテンションで張った版を使い、版離れを意識してセットし、インク返しをしたプリントで印刷されるインクの膜厚は

版の膜厚(スクリーンの厚み+感光剤の厚み)の2/3程度です

 

それに比べて、テンションが足りない版をベタ置きで、インク返しをせずに印刷された膜厚は

版の膜厚(スクリーンの厚み+感光剤の厚み)の1/2以下になります。

たった1/6の違いですが、100枚プリントすると、どれだけのスキージストロークの違いになるでしょう?

また、ここを改善せずにどんどん新たなインクを勧められ購入すればよいのでしょうか(笑)

 

資材屋が言う事ではないかもしれませんが(笑)資材屋ばっかり儲けさせる事になりかねませんね(笑)

 

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シルクスクリーン印刷・最近の傾向

「シルクスクリーン印刷の道標」の始めにあたって、この業界の現況について。

シルクスクリーン印刷の特徴として「同じ印刷を多く刷れば刷る程コストが下がる」事が挙げられます(勿論、特徴は他にもあります)。

ですので、シルクスクリーンを専業で営んでいる事業者様が、下請けの形で印刷する場合が多く、これまでは印刷から販売まで一貫して行ってる方は少なめでした。

というのも、シルクスクリーン印刷はどのような素材(形状には制限があります)にも印刷(密着)できるという特徴がありますが、これは逆に言うと、相当多種のインクを用意しておかねばなりません。また、適用するインクを選定する知識と経験を必要とします。ですので、印刷は印刷屋、販売は販売屋という場合が多かった訳です。

もう一つの特徴として、シルクスクリーン印刷に取り組む上で、初期導入コストが他の印刷形態、例えばオフセット印刷などが数千万円から億円単位でかかるのに対して、シルクスクリーン印刷の場合は、かかっても数百万円で済むという事が挙げられます。

こういった特徴から、比較的新規参入のし易い状況であり、これまで外注していたが内製化する事で製品のコストを下げたいという方。また、デザイン志向の方がご自身のデザインを世に問うため、自らシルクスクリーン印刷を行いたいという方。こういった方々が最近は徐々に増えています。

しかも、驚かされる事に、突然(前触れも無く)弊社までお越し頂き『Tシャツにプリントするインクを下さい』とおっしゃる方が時々いらっしゃいます。良く良く伺ってみると

 

1.近所の人が町内会のTシャツを作るため業者を探していたので、自分が刷ってあげると請け負った。

2.シルクスクリーン印刷に関しては、ネットで動画を見ていて知っているから刷れます。

3.印刷する枚数は200枚です。

と、こうおっしゃいます。最後には『良いこずかい稼ぎになると思ってます』

 

これは極端な例ですが、いかにも「シルクスクリーン印刷は大した知識も技量も必要とせず簡単だ」という間違った認識も多く見られます。

個人で楽しんでいる方も多く、特にデザイン系の専門学校様や大学にはシルクスクリーン印刷の講座を開講されているところもあり、生徒さんや卒業生の方々は、コストよりも完成品の風合いを重視していらっしゃいます。

 

デフレ経済になって久しい日本ですが、最終製品が完成するまでのコストを最小限にする。その為には、比較的コストのかからないシルクスクリーン印刷は最適なのかもしれません。

 

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