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乾燥不足の原因 その2

では前回に引き続き、乾燥不足の原因の2番目として、「乾燥機器の不具合」です。

不具合と言っても、もろに乾燥機が故障しているとかの場合は稀だと思います。ここでお話ししたいのは、乾燥機の使い方における注意点とでも申しましょうか。

例えば、プラスチゾルインクの乾燥条件を150度とします(インク・メーカーによって違いが有ります)。秒数に関しては、インク膜厚によって違いができますので、本来は「何秒乾燥すれば大丈夫」とは言えません。しかし、目安として大凡90秒です。インク膜厚が厚くなれば長くする必要がありますし、薄ければ短くしても良いという事です。

さぁ、貴方はこの「150度」をどの様にして確認していますか?

  1. 乾燥機に表示されているのを目視
  2. 乾燥機(トンネル型)の入り口に手をかざす
  3. 放射温度計で乾燥機のトンネル内のインク温度を直接計測

 

トラブルが起きる場合の多くは3の方式を取らない場合です。

「インクの乾燥条件」が150度で90秒を満たしている事を確実に確認できるのは3しか有りませんよね?

本来、プリントするその1日が始まる際に一度計測するべきです。「昨日きちんとインク面の温度を測った時から、乾燥機の設定を変えていないから大丈夫」とやると、ある日突然トラブルが発生する事があります。

貴方の作業場は昨日と全く同じ状態でしょうか?

室温が変われば、室内の空気の流れが変わっている事もあります。

昨日は寒かったから窓を閉めてプリントしていたけれど、今日は暑いので窓を開けっ放しにしています。こんな場合、トンネル乾燥機の周りの空気の流れは変わっています。試しに扇風機をトンネルにまっすぐ向けた場合と、横から当てた場合とで、インク面の温度を放射温度計で測ってみましょう。

乾燥機に表示されているメモリが昨日と同じだからと言って、インク面の温度が同じとは限りません。乾燥機に表示されているメモリが表しているのは、乾燥機のどこかに設置されている温度センサーが感知した温度であって、インク面の温度そのものではないからです。

あるお客様から聞いた話ですが、とある業者の担当者はトンネル乾燥機の入り口近くに手をかざして「こんなもんで大丈夫です」と言ったそうです。神の手ですか(笑)

別のお客様から聞いた話はこうです。
某S社から、トンネル部分の短い乾燥機を購入しました。インクもS社から購入したものを使っています。乾燥機設置の際に、何故か温度設定のつまみは動かさない様に指示されました。
しばらくの間、指示されるままプリントしていましたが、どうもトラブル(インク剥がれ)が起きるので、少し胡散臭いけれどWeb−StanceってところからExcalibureというインクを買って使ってみました(笑)剥がれは起きませんが、今度は印刷がやたら艶ありに仕上がってしまいます。
私と一緒に原因を探って頂くと、乾燥機の入り口でのインク面の温度が190度にもなっていました。そりゃぁ艶が出るってもんです。お客様に、せめてという事で、温度が160度になるように調整して頂きました。すると、Excalibureインクは正常に乾燥するのだけれど、S社から購入したインクは乾燥しきらないという事でした。

そもそもその乾燥機はトンネル部分が50cm程度しかないものなので、1度通しただけでは乾燥しきらない可能性もあるのです。前述の通り、空気の流れに影響を受けてしまうため、トンネルの入り口出口部分では温度が下がりがちになりますから、実際に必要な熱量が与えられる部分は50cmよりも短く、乾燥時間が足りなくなる場合が多いのです。ですから、必要に応じて、トンネルに2度通さなければならない場合もあります。

乾燥炉の長さが短い乾燥機が「全く使えない」という訳ではありません。どんな種類の乾燥機を使った場合でも、そのインクの乾燥条件を満たさない使い方をしてはいけない、という事です。

次々回で予定している「ワーク(ウエア)の季節的若しくはロットによる状態変化」にも関連しますが、乾燥炉内部の条件を変化させる要因がある場合は、乾燥時間は変わってしまいます。詳しくは次々回に書かせて頂きます。

ここまでトンネル型の乾燥機、いわゆる非接触型の乾燥機について書きましたが、接触型乾燥機。一般的にヒートプレス機ではどうでしょう?

ヒートプレス機は加熱している際にインクの表面温度を計測することができません。そりゃそうです。インク面とプレス機の加熱部分が密着しているのですから。機器の温度表示部分を信じるしかない訳です。しかし、これもまたトンネル乾燥機と同じで、機械のヒート部分のどこかに設置されている温度センサーの感知した温度でしかない訳で、インク面の温度ではありませんね?

まぁ、買ったばかりのヒートプレス機であれば初期不良でもない限り、そんなにかけ離れた温度ではないと思います。そしてそんなに古い機種でもなければ、機械の構造上、場所によって温度がかなり違うということもあり得ません。

ただ、トンネル乾燥機の場合遠赤外線で加熱しているのに対して、ヒートプレス機は接触加熱です。肉を炭火で焼くのと、ホットプレートの上で肉を焼くのとの違いです。

遠赤外線は電磁波ですから、インク面の温度が160度であれば、インクの内部から生地に接触しているいずれの部分も160度になります。これに対して、接触型の加熱方式は、接触面から離れるに従って温度が下がります。インクの膜厚は有って数百ミクロンでしょうから、そんなに心配する必要なないかもしれませんね。ただ、こう言った知識を持っていた方が、何か起きた時に便利です。

 

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乾燥不足の原因

使っているインクの種類によって、乾燥条件は様々です。しかし、指定された乾燥条件を守っているにも関わらず、乾燥後のインク面がヒビ割れたり、最悪剥がれてしまう様な場合は、まずインクメーカー若しくは購入した販売店に原因究明を依頼しましょう。

スクリーン印刷を完了するには、様々な機器、材料を使用します。そして、インクと乾燥機を同一の業者が販売したのではなく、それぞれを別々の業者から購入していると厄介な事が起きます。

インクを販売した業者に聞くと「それは乾燥機が悪いのではないでしょうか」と言われ、乾燥機を販売した業者に聞くと「それはインクが悪いのではないんですか?」と言われたりします。プリントしている本人は「どっちでも良いから、早くちゃんとしたプリント(製品)ができるようにしてよ!」という話なんですが。では、言われた通りの乾燥条件を守っているのにトラブルが起きてしまう。その原因は何なんでしょうか?

 

  1. インクの劣化
  2. 乾燥機器の不具合
  3. インク選定の間違い
  4. ワーク(ウエア)の季節的若しくはロットによる状態変化
  5. 印圧不足

 

他にもまだ有るかも知れませんが。順不同に書き出しただけでもこれだけ考えられます。

前述のような答えしかできない業者は、結局の所「今回のトラブルは、自分のせいではない」と言いたいだけで、製品を購入してくれた、購入してくれているお客様の身になって考えてはいません。

今回で1〜5全てを詳しく書くことができませんので、1についてだけまず書かせて頂きます。

余談ですが「インクの劣化」などと書くと、必ずと言って良いほど「プラスチゾルインクは一切劣化しません!」などと言い切ってしまう方がいらっしゃいます。
では試しに長期に渡って放置してみてください。pvcから可塑剤が分離し始めます。これを劣化と言わずに何というのでしょう(笑)

水性バインダーでもプラスチゾルインクでもいずれ劣化はします。プリントに慣れた方なら、劣化したインクはスキージストロークの際に違和感を感じるはずです。問題なのは、経験値が少ない方が初めから粗悪なインクを購入させられている場合。経験値が少ないので、業者の言う通りに信じて使っている訳ですから、そもそもが大丈夫と思って使っている訳です。

結論として、もともと正常なインクを使用していれば、劣化した時点で印刷する前若しくは印刷途中で気づけるはずです。逆に言うと、トラブルになった時点で「あの時の違和感が・・・・」と薄々思い出してしまうはずです。
そして、正常なものではないインクを掴まされていた場合、そのようなインクを掴ませる業者からはとっとと縁を切りましょう(笑)前述の通り、そのような物を掴ませようとする業者は、必ずと言って良いほどトラブル解決に協力しようとはしませんから。

 

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