水性バインダーの版詰まり解消

プラスチゾルインクの激しい値上がりがあってからと言うものの、水性バインダーの人気が爆あがり・・・・という訳でも無く(笑)

というのも、やはり水性バインダーは常温でも乾燥(硬化)が進んでしまうので、ついうっかりすると版を詰まらせてしまうからでしょう。この点、ご存じのようにプラスチゾルインクは熱硬化型ですから、常温では一切乾燥しないので※印刷途中におしゃべりに没頭しようが、ちょいと2~3本タバコを吸いに現場を離れようが、版を詰まらせる事はありません。

※とは言っても、あまりに長期間放置すると、インク中の可塑剤が揮発して「固化」はします。溶剤などで溶解できるので版を使用不能にする事はありませんが「リピートで同じ印刷が後々有るのであれば、版を洗浄せずにそのまま版上に残して保管できるのがプラスチゾルインクの利点です」などと説明する販売店は信じない方が宜しいかと思います。

私の主観的な感想ですが、プラスチゾルインクを使用している方より、水性バインダーでプリントしている方のほうが、様々な作業の速度が早いようです。
弊社で開店したプリント現場では専ら水性バインダーを使わせていますが、担当者はめまぐるしく走り回っています。いや、私がこき使っている訳では無く(笑)

つい先日、プリント終盤に私が話しかけてしばらくした時、担当者がいきなり奇声を上げて頭を抱えたので「?何事?」と思ったら、最後のプリントを終えた後、版をセットしたままで洗浄せずにいました(笑)私を見つめる彼の目は「あんたのせいですよ!話しかけるから!」と言わんばかり(笑)
案の定、版は見事に詰まっておりました。

彼の頭の中では「詰まらせちゃった。。。これって無理かな。。。無理だよね。。。。スクリーン、張り直し????」
などと色々な思いが駆け巡っていたに違いありません。
プリントの途中であれば、当然インクを被せていたであろうし、私が話しかけるタイミングが悪いと言えば悪いのですが(笑)

しかし、本人は私に文句を言う事もなく、急いで版を洗浄しだしました。が。。。。やっぱり詰まっていました。

水性バインダーはメッシュを詰まらせるとほとんどの場合どうにもなりません。もともと、1cmの中に100本とか120本の糸が編まれているわけですから、その隙間を埋めてしまった水性樹脂は、一般的な溶剤ではきれいに除去できないのです。
この点、プラスチゾルインクはそもそも灯油系の溶剤にすぐ溶けてしまうので、なんら問題なくキレイキレイできてしまいます。

その後も担当者は右往左往しながら様々な溶剤で解決を試みていましたが、どれを使っても無理みたいでした。
意地悪でも何でもないですが、そこまで見届けておいてからポケットから小瓶を取り出し「これでやってみなさいな」と(笑)

弊社では、後々同じ柄で撥水ウエアにプリントする可能性も考えて、耐水耐由両用の感光乳剤を使用しているので、通常の水性バインダー印刷では使わない溶剤系の薬剤でも、版を壊すことなく使用可能なのですが、でき得れば溶剤は使用したくありません。
なので、今回取り出した小瓶に入っているものは天然の物質しか使わないようにしたものなのですが、結果、版の詰まりはあっさりと綺麗に取れてしまいました。ちなみに、この薬剤は水性版にもなんら影響を及ぼすことなく使用できます。

担当者にすれば「そんなの持ってるなら早く言えよ!」と思っていたに違いありません(笑)
ただ、こんなものが準備されていると思ったら、安易に版を詰まらせちゃうんじゃないかと思って(笑)

という訳で、本来は「版を詰まらせない」事が第一なんですが、もし水性プリントで版を詰まらせても「版詰まり解消剤」が有るという事で一安心。
先に、弊社プリント工房は水性バインダーを使用していると書きましたがなぜかをお話しして締めたいと思います。

そもそも、弊社のプリント工房は「インボイス制度の開始」を機に事業の引退を決意された個人事業のお客様の仕事を引き継ぐ形で始めました。そこが、通常は水性プリント。そして撥水生地のみ溶剤型インクを使用していました。
印刷に必要とする機材は全て整っている状態でしたので、プラスチゾルインクを使用する事も考えられなくは無かったのですが、以下の点を考慮して水性プリントのままで行くことに決めました。

  1. これまでのエンドユーザーの希望で、印刷風合いを変えたくなかった
  2. 選択堅牢性は水性プラスゾルでほぼ同じだが、耐摩擦堅牢性では水性が勝るため
  3. ここ数年は、特にアパレルメーカー様で水性の風合いを好む先が多くなっているため
  4. 水性バインダーの方が、海外事情に影響されにくいため

探せばもっとありますが、こんなところでしょうか。

 

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