☆スクリーンインクの種類と比較☆

 

水性バインダー プラスチゾルインク 溶剤型インク
隠蔽性
洗濯堅牢性
耐摩擦性
インクの入手性
特殊インク(加飾)
機材へのコスト
インクコスト
作業性
刷版の重要性

 

1.隠蔽性

刷版の膜厚、スキージの硬度、ストロークスピードなど、インクに非依存の部分を共通とすると、インクの隠蔽性にほぼ違いは有りません。
 スクリーンインクはそのいずれも、樹脂(接着剤部分)+顔料+その他という構成ですが、被印刷物を隠蔽できるか否かは顔料の性質・粒径や量に依存します。

2.洗濯堅牢性

溶剤型インクは合成皮革やナイロン繊維に使用することがほとんどで比較対象外とするとしますが、水性バインダーとプラスチゾルインクとを比較する場合で乾燥条件を正しく守った場合、洗濯堅牢性に違いはほぼありません(どちらも5級程度)。
プラスチゾルインクを「油性」という間違った認識をする(させられた)場合、その言葉のイメージから「水性より強い」となっているようです。

3.耐摩擦性 

一定の圧力をかけて擦る試験では、圧倒的に水性バインダーが優れています。プラスチゾルインクは摩擦性能に弱く、劣化が始まると砕けて壊れる現象が起きやすくなります。水性バインダーが4~5級に対し、プラスチゾルインクは1~2級となります。

4.インクの入手性

 水性バインダーのほとんどが日本製、プラスチゾルインクのほとんど(輸入されているもの)がアメリカ・カナダ・韓国製ですので、特別な状況が無い限りほぼ同等です。
 過去の事例では、水性バインダーが国内樹脂メーカーの設備破損によって一部樹脂の供給が滞り、代替品で賄われる事例がありました。また、プラスチゾルインクでは、海外メーカーの事情により一方的な製品の更新や廃番が起きます。

5.特殊インク

 ほぼ同等の物が入手可能ですが、国内需要の少ない種の加飾インクは輸入されない場合、若しくは漸次少なくなっていく場合があります。

6.機材へのコスト

 硬化に加熱を必要条件とするプラスチゾルインクの方が、熱乾燥機材を必用とする分コスト高になります。勿論、水性バインダーも加熱乾燥を行うほど洗濯堅牢性や耐摩擦性能が上がります。一定の添加剤を混合する事で、加熱乾燥を緩めても前記条件内を維持できるということです。

7.インクコスト

 一般的にインク単体の価格ではプラスチゾルインクより水性バインダーが安価です。但し、水性バインダーには廃棄する部分(粘弾性が上がったり硬化して劣化してしまう)が存在するので、運用の仕方でほぼ同程度になってしまうかもしれません。

8.作業性

 プラスチゾルインクが熱硬化型の為、版詰まりが一切起きないのに対して、水性バインダーは例え正規のインク返し行っていても版詰まりは皆無にはできません。よりスムーズな作業を心がけなければなりません。

9.刷版の重要性

刷版の品質は大いに印刷品質に影響を与えます。「印刷作業中のトラブルを起こさない」レベルではプラスチゾルインクの方が緩やか(品質が劣っていても印刷可能)です。

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