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でわブリード(再昇華)を最小限に抑えるには

前回の記事の最後に期待を持たせているので(笑)なんとなく少し早めに書いています(笑)

でわブリード(再昇華)を最小限に抑えるにはどのような方法があるのかという事ですが、前回書いた通り、ブリードは100%止める事が出来ないのであれば、その方法のなかからどれを選ぶかによって、製品の出来が変わるという事です。
極端な言い方をすると

「いいんじゃない?この程度止まれば」とお考えになる人と
「いやぁ、、許せんな。こんなじゃ」とお考えになる人では求める出来が違うので。

で、ここは私・・・株式会社スタンスの基準で「この位はやってくださいよぉ」というレベルを書きます(笑)

前回の記事で書いた通りですが、インクに含まれる顔料をいくら増やしたところで、ブリードは止まりません。プリントした直後は顔料濃度が高いためブリードは起きていませんが、時間が経つにつれあっという間に染料が移染してしまいます。

次に列記する方法は、後に行くほどブリード抑制の効果が高くなっています。

  1. ローブリードインクを使用する
  2. 低温硬化型インクを使用する(注:ナイロンボンドの併用は効果が無くなります)
  3. 自然乾燥型インクを使用する
  4. スーパーローブリードインクを使用する
  5. ブリード防止剤を添加する
  6. スーパーローブリードインクと、通常インクを混合したものにブリード防止剤を添加する
  7. スーパーローブリードインクを全面プリントしてから、各色プリントする
  8. ブリード防止剤を全面プリントしてから、各色プリントする
  9. ブリード防止インクを全面プリントしてから、各色プリントする

生地のブリードのしやすさにもよります。1で良い場合も有りますし、6でもダメな場合も有ります。
また、7~9の方法は下刷りに全面プリントするので刷版が1枚増える事になります。そして、重ね刷りする事になるため、柄のエッジをぴったり合わせなければなりませんから、印刷技術はもとより、版のテンションが大切になってきます。

 

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ブリード(再昇華)のメカニズム

なんか、このテーマについては何度も書いている気がしますが(笑)

こうして何度も書くってことは、それだけブリードに対するお悩みのご相談が尽きないという事。そして加えて「ブリード対抗インク」を謳いながら、厄介なインクを販売しているところが懲りていないという事です(笑)

さて「メカニズム」と書いてしまったからには(笑)それ相当の覚悟を持って図式化しました(笑)
順を追って説明しますが、まずは結論から。

「ポリエステル生地のブリード(再昇華)。するものはします。100%止める事なんて絶対にできません」

上の図。たいそうな事を言っておきながら円を何個も書いただけ(笑)
この白○一つ一つをポリエステル繊維を形作っている分子だと思ってください(笑)

図1は常温の状態とします。ポリエステルの分子は規則正しく並んでいますが、ポリエステルの性質上、その分子同志はそんなに強い力で結びついている訳ではありません(詳しくはなんらかの文献でご確認下さい)。
そして、このポリエステルに高温を与えるとどうなるかと言うと

 

分子どうしが離れ始めます。
その昔、教科書の中で氷から水に変わる時にこのような絵を見た事が有るような無いような(笑)

大体はそれと同じような理屈です。エネルギーが増えた分子は動き出す、ってこと。

さて、ここに染料をとある方法でくっつけますと、こうなります

赤丸が染料の分子です。
上手く作れませんでしたが(笑)動いて空いたポリエステルの分子と分子の間にズボっとはさまります。

これが、ポリエステルに昇華染料を使用した染色方法のざっとしたあらましです(笑)

お分かりいただけるように、染料の接着には何も使用しません。ポリエステル繊維分子同志の結合力も弱ければ、染料も挟まっているだけです(笑)難しい事を書けば分子間力・ファンデルワールス力などの説明をしなければならなくなりますが割愛(笑)

さて、世の中には次のような間違った説が有ります。

乾燥しなければブリードはしない」

半分あたりで半分間違いですね。

図3の状態から再度熱をかける事でまたまたポリエステル分子同士は隙間が空いてしまい、そこからポロっと染料が取れてしまいます。そこにインクがくっついているのですから、インクの接着力で染料は移動してしまいます。なので半分は正解です。

図の上側がポリエステル生地の表面(インクが乗る面)だとすると、緑に塗りつぶした染料がインクに触れてしまいます。
さぁ、ポリエステルと染料の結合力、これとインクと染料の結合力、いずれが大きいでしょうか?

インクが生地に接着するという事は、インクの樹脂と生地がお互いに引っ張り合っている状態です。インクの樹脂は常温でも染料を引っ張り続けているのですから、染料がインクへ移動してしまいます。綿100%の生地でこのようなブリードが起きない理由は、染色方法に反応染料が使われており、綿の分子と染料の分子を化学結合させているからです。
ポリエステルの染色方法である熱昇華染色法は化学結合を行っていませんから、遥かに強い接着力であるスクリーンインクは染料を引き剥がし移動させてしまいます。

「そんな馬鹿な!」とお思いのそこのあなた(笑)

では、こんな実験をしてみて下さい。

確実にブリードしてしまいそうなポリエステル100%の生地2枚に、熱圧着ラバーシートを完全に熱プレスしてみて下さい。

そして1枚は冷えたらすぐに、リムーバーMWなどを使って剥がす。そしてもう一枚は数か月後に同じようにして剥がしてください。

すぐに剥がした方は、多少生地の色が薄くなっています。そしてもう一方は・・・・・

熱がない時にも染料の移動が起きていることが確実にわかると思います。

「ラバーシートが冷えた後は、感熱接着剤の接着は終わっているじゃないかぁ!」という反論は無駄でございます(笑)
2つの物体がくっついている状態は「常に引っ張り合っている」状態なので。

以上がブリードのメカニズムです。でも、これで終わってしまっては面白くないので(笑)

ブリードに対抗するインクは昔から用意されていましたが、

  • インクに発泡剤を混合し、いかにもインクの隠蔽性を上げたかのように見せかける
  • プラスチゾルインクの可塑剤の種類を選定し、ブリードの時期を遅らせる
  • 顔料を大量に混合させてごまかす

など、根本的な解決法は取られていませんでした。冒頭にも書いた通り、完全に止めらる訳がないブリードなのですが、もっと良い方法は無いものでしょうか?

次号に続きます(笑)

 

 

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印刷の艶がでてしまうその原因

まず「艶」とはについてお話しすると、光沢の有る無しです。
凄く当たり前のことを書いていますが結構大切な話なので基本的な所から書いています。

では、光沢の有る無しは何かと言うと「平滑性」の有る無しです。

平らなところで云々という場合に、下敷きとしてガラスや鏡を選ぶと良いとされるのは、それだけ平滑性が確保されているという事ですが、ご覧になって頂ければ分かるように、ガラスや鏡に光をあてるととても光ります。

印刷されたインクも同じ事が言えますので、平滑性が高いと艶が出ます。

スクリーンプリントはスクリーンメッシュという網目をインクが通過してきますが、良くよく見ると印刷結果には凸凹があります。低粘度の溶剤型インクで、且つ高メッシュを使用する場合は肉眼ではあまり判りませんが、それでも状況によってはレベリング剤というインク面の平滑性を増す添加剤を使用する場合も有ります。

という訳で、一般的に正しい材料を使って正しい印刷を行っていれば、ツヤツヤになる事はあまり有りません。ただし、特にラバータイプのインクには仕上がりが半艶仕上がりになるものも有りますから、これは例外です。でも、あくまで「半」艶です。

さて繊維製品へのスクリーンプリントの熱乾燥は大まかに次の方法があります。

  1. 密閉式乾燥窯への投入
  2. コンベア(トンネル)型乾燥機
  3. 熱プレス機による圧迫乾燥
  4. その他

いずれの方法を採ったとしても、それぞれのインクの乾燥条件を満たすのは必須です。今回は「艶」に関して問題が起きる可能性についてお話ししていますので、先述の通り印刷面の平滑性が出すぎる場合として「3」の場合に多く該当します。

熱プレスする際にインク面と熱プレス機の間にテフロン若しくはシリコンの素材を挟むと思いますが、この場合の素材の平滑性がそのまま影響します。
安価なシリコンペーパー、特に格安ショップなどで販売されているクッキングシートはまさにツヤツヤですから、この平滑性のせいで艶が出すぎる場合があります。この場合は、多少コストはかかっても専用のテフロンシートをお使いになることをお勧めします。

次の原因としては、適正な乾燥温度を遥かに超えた場合です。
繊維用のインクはなんらかの樹脂ですから、温度が高くなるに従って、ゲル→個体(乾燥インク)→溶解→燃焼の順に変化します。適正な乾燥温度で凝固するのが通常ですが、あまりに高い温度をかけると再度溶けます。「溶解」です。この状態まで行ってしまってから再度温度が下がると、当然凝固点まで温度が下がりますからインクは固まる訳ですが、表面は正常にはなりません。はい、艶が出ます。艶無しのインクであったはずなのに艶が出ます。

今回この問題について、書こうと思った理由は、極く短期間に、同じ機器を使い同じインクを乾燥している多数のお客様から、全く同じご相談を受けたからです。ご相談の途中まで聞いたら落ちが解ってしまうくらいに。

段々想像が付いてきたかと思いますが(笑)多分潜在的に他にも悩んでおられる方もいらっしゃると思うので、今回は具体的に書きます。

ColorMaxインクを使用し、Vastex D-100(コンベア乾燥機)をお使いになられている場合。納入業者に、機器のつまみ(温度設定、ベルトスピード調整)はいじらないで下さいと言われている方が多いと思いますが、一度乾燥中のインク面の温度を放射温度計で計測してください。そして、納入業者にColorMaxインクの乾燥条件を聞きただしてください。

今回はお客様が納入業者に艶の解決方法を問い合わせても全く拉致があかないという事でしたので、私が米Vastex社に直接問い合わせました。勿論機械はなんら問題は有りません。調整つまみも勿論(笑)インクの乾燥条件や室内の風向に応じて調整するためにあるとの事でした。極く当たり前のお答えです(笑)

今回、お客様にお願いしてExcaliburインクを使って、乾燥面のインク温度を160~170度にして頂き、コンベア乾燥機のベルトスピードを最低にしてもらいました。結果は、艶も出なく洗濯試験も良好でした。
ちなみにさきの納入業者が設定した場合は、インク面の温度は190度以上にもなっており、乾燥後は必ず艶ありになってしまっていたそうです。そして、乾燥温度を170度に落としてしまった場合は、洗濯すると剥がれ落ちることが起きたそうです。

もう、笑い話としか思えないのが

お客様が「設定してくれたまま使っているとインクがツヤツヤになってしまうんですけど・・・」と相談すると

「それは設定温度が高いからです!」ときっぱりお答えされたらしいですが、お客様は心の中で「おまえが動かすなっていったんだろぉ!」と叫んだらしいです。

インクは、適正な乾燥温度を守れば、なにもそんなに高温にしなくても良いのです。高くすれば良いってもんではなくて、あくまで適正な温度を守るべきです。

 

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