水性印刷のチジミについて
水性バインダーを使用したプリントで多色、特に3色以上をプリントしていると、少量の枚数なら異変は起きないのですが、大量の枚数になった時に色ズレが起きてしまう事があります。
今回は、これの原因について考察してみます。といつになく固い始まりかた(笑)
最初はズレていないという事は、使用している版にそもそものズレはないとします。
大凡考えられる原因は
1.印刷機がしょぼい
これが原因だとすると、最初からズレが起きていそうな気がするのですが。
要は、印刷機の接合部分の精度が甘いせいで、正確にセットした版が細々とズレてしまう為に、結果印刷にもズレが生じてしまいます。
版を止めている部分がきっちりと締め付けられているのだとすると、他の機械的な接合部分がしょぼいので、これだとどうにもなりません。
特に中国製の印刷機によく起きる現象です。
2.使用している版のテンションが緩い
スクリーンメッシュの張り方が緩くて、かつ、スキージストロークが正確で無い場合に起きる可能性があります。
スキージストロークで、印圧を多くかけてなおかつ引きずるようにプリントしている方を良く見かけます。スクリーンプリントの場合、スキージを「手前に引く動作」を行わなければならないのですが、いくら押しつけてもインクが多く落ちる訳では無く、逆に一度落ちたインクを掻き取ってしまいかねません。
使用している「プラスチゾルインク」が固すぎて、そうしなければインクを落とせない、プラスチゾルインクからプリントの世界に入った人に良く見かけますが。そもそも、インクを適正な粘度にしてから印刷するべきです。
3.使用しているスキージがしょぼい
しょぼいというより(笑)スキージブレード(ゴム)の硬度が合っていない場合、特に柔らかすぎのブレードを使用すると、エッジが滲みやすくなります。
4.その他
なんだかんだ色々やってもどうにもならない。原因がとんとわからない。
結局、全然見当違いだった場合も時には有ります(笑)
水性バインダーで、特に多色印刷をする際に、後半のプリント色がズレる原因の多くは、プリント後の生地のチジミの場合が多く有ります。水性バインダーは溶媒に水系を使用しているので、1~2色目のプリントを行った際に、生地に水分を与えてしまいます。それが3~色以降に蒸発乾燥して生地が逆に縮む事になります。この、膨潤・縮小がズレの原因の場合が有りという訳です。
生地をきっちり刷り板に仮固定できていないと、ほんの少しずつズレている、若しくはプリントしている内に仮固定の粘着剤が少しずつ弱くなっている為、生地がほんの少しズレてしまう。
市販されているスプレー形式のものは概して接着性が足りなかったり、持続性が足りなかったりします。また、逆に接着性が強すぎても、プリント後、ウエアの裏生地に粘着剤が残ってしまうと困ります。
弊社では常に「水性接着剤」を使用しています。「パレットボンド・スーパー」でも良いのですが、こちらは既に希釈されているので、逆に濃くする事ができません。ウエアによって粘着度合いを調整できる水性接着剤が便利という訳です。
単体ではスプレー糊より高いのですが、もちがやけに良いので、コストは全然少なくなってしまいます。水性接着剤500ccが有れば、多分、スプレー乗り数十本分プリントできてしまいます。