粉ものに注意

最近お問い合わせが多いのが「グリッター(ラメ)」や「ゴールド・シルバー」など、ベースバインダーやプラスチゾルインクベースに粉体を混合して行うプリントです。

中でも「(既製の)インクを購入してプリントしても、巷で見かける様な濃度のあるプリントができないのですが?」というお悩みです。

これがホワイトやレッドなどなど一般色のプリントの件ででしたら、皆さんお解りのようにスキージの硬度やスクリーンメッシュのテンションなどなど、先にご説明することは山ほど有るのですが(笑)

粉ものを混ぜることによって、インクの粘度が上がりますから、スクリーンのテンションが同じであればインクは落ちづらくなりますし、版離れは悪くなりますからワーク(被印刷物)をきちっと糊で固定しなければなりません。

ここまでの話で「おや?」とお思いになった方もいらっしゃると思います。多色プリントの場合、1色プリントする毎にワークが少しでもずれてしまうのを防ぐためにワークを糊で固定しなければならないと思っていらっしゃる方。それは半分当たりで半分間違いです。
版の孔を通過するインクは、孔に全くインクを残さず通過させることは不可能で、ほんの僅かに残ってしまいます。これが版とワークの版離れを悪くさせます。逆に言うと、孔への残留インクが多いほど版離れが悪くなります。
スキージストロークの印圧は強ければ強いほど良いというものではありません。適正な印圧を超えてストロークを行ってもワークとスクリーンメッシュのフィラメント(糸)を押しつぶすだけで濃度は決して上がらず逆にスキージ中央部では逆に濃度は下がります。

適正なスキージストローク圧は、スキージブレードがスクリーンメッシュを押し下げ、ワークと接するその一点にあります。

ですので、時おり、というかしょっちゅう見かける(笑)スキージストロークが終わり、版を持ち上げる際にワーク(Tシャツなど)がふわりと浮き上がっている動画は間違いです。そういう印刷は決まって淡色生地にプリントしている場合が多く、隠蔽性をあまり必要としないものですね。
また、スキージが版上を通過している部分をよく見ると、泥の上をキャタピラーが走った後のように刷り痕がムラになって現れている動画も良く有ります。「なんでそんなに・・・」という程、スキージ圧を上げているんだと思います。前述のようにスキージ圧は必要以上に上げてはいけないので、きっとテンションが足りない版を使っているんだなぁ。。。と自分を納得させていますが。

さて、話は粉もののプリントです。

粉ものの(粉を混ぜた)インクのプリントでは、ベースとなる樹脂の中に混じった粉体が版の孔を通過していかなければなりません。
ですので、基本的なことですが粉体の粒径がスクリーンメッシュのオープニングよりも小さな、逆に言うとスクリーンメッシュのオープニングより小さな粒径の粉でなければプリントされないと言うことになります。

そして、感光乳剤の露光(直接法)ではないサーマルフィルム法の版ではプリント(粉体)の濃度が出なかったり、粉体の濃度は出るけれどもプリントのエッジが滲みがちにならざるを得ないという問題点があります。

具体例を挙げますと、サーマルフィルム法にはスキージ面にフィルムがあり印刷面には紗がむき出しのタイプと、その逆の場合があります。
前者はプリントエッジが滲みがちになり、後者は粉体の濃度が薄くなりがちにならざるを得ません。これは片側で紗がむき出しになっていることに原因があります。正確に言うと、粉体の印刷以外一般色の印刷においても、前者は滲みがちになり、加えて版の強度を保つことが難しい場合が多くなっています。

サーマル法で使用する機械は決してお安いものではないので、購入する際には教えて頂きたいものですが、善良な業者でも知らない方が多いのが現実(悲)

では直接法感光乳剤を使用して作った版ではどうかというと、

  • そもそものスクリーンメッシュの選定を間違えない(オープニングの確保)
  • スクリーンメッシュのテンションを強くする
  • スキージブレードのアタック角度を考慮に入れる

以上をきちんと行っていれば、普通は問題ありません。
感光乳剤の質によっては、インク(粉体含む)が落ちづらいものがありますが、通常のレベルではあり得ません。フッ素樹脂を添加した感光乳剤ほどインクがなめらかに落ちますからラメなども落ちやすいのですが、通常レベルのものより高価になっています。感光乳剤をそれぞれの局面で使い分けるのが一番良いとは思いますが、こんな助剤もあります。

最後にこんなお話し。

お客様と色々お話ししている内に

「他社からゴールドのインクを買って印刷したんですが、全然金色にならないんですよ」との事でしたので、具体的にそのインクのメーカーをお聞きしたところ、そのインクは#80メッシュ以下の、すなわちオープニングが#120より大きなメッシュでしか使えないものでした。それを即答でお伝えすると、そのお客様曰く

「版もそこから購入しているんですが、#120しか購入していないのに、なんで教えてくれないんだろう・・・」

ちなみに昔ながらの八百屋(笑)で「イモください」と言えば「ジャガイモ?サツマイモ?」と聞いてくれると思います。そこで「今日の夕食をカレーにしようと思うんです」と言えば、まさかサツマイモを勧める八百屋はないと思うのですが(笑)

ちなみにそのお客様は現在、弊社から#120で印刷できるゴールドをお使い頂いていますが、それでも金のオチがあまり良くないらしく、使っている版の現物を弊社に送って頂いているところです。

 

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再帰反射(リフレクト)

通常の一般色のプリントは顔料の径が小さいので、スクリーンメッシュの番手の選定は専ら印刷するデザインに対して、どこまで精細さを要求するのかが基準となります。言い換えると、インクの樹脂の粘度が許すのならば、そしてプリントする技術が許すのならば、出来うる限り高い番手のメッシュを使う事ができます。

これに対して、グリッター(ラメ)蓄光再帰反射などは、もっと径の大きな粉体を使用していますから、これらの径を通す事ができるオープニングを持ったスクリーンメッシュを使わざるを得なくなります*。

上記4種類の粉体を使った印刷の場合、まずベースとなる樹脂(水性バインダーもしくはプラスチゾルインク)は出来うる限り透明度の高い物を使用した方が、仕上がりは煌びやかになります。特に、蓄光、再帰反射の場合は、ここが蓄光率や再帰反射率に大きく関わっています。いつもの様に箇条書きにすると以下のようになります。

  • 適した接着力を持つ(通常のバインダー・プラスチゾルインクより高接着の)ベースを使用する
  • 通常のクリアバインダー・クリアプラスチゾルインクより透明度の高いものを選ぶ
  • 濃色生地にプリントする際はアンダーホワイトを事前にプリントする

グリッタープリントに限っては3番目を省いても良い場合が有りますが、この場合は試験を行いながらパウダーの量を増やす必要があります。なぜかというと、ベースである樹脂の接着力は、粉体の保持にも消費されるので、限界を超えると生地への接着力が不足し、プリント自体の剥離若しくは、粉体の激しい離脱を起こしかねかねないからです。

では、蓄光や再帰反射も同様に注意して添加量を増やせば下刷りはしなくても良いかと言うとそうはいきません(笑)
一般色の場合、光が当たって反射した色だけが見えます。例えば、赤と言う色は物体にあたった光の内、反射した成分?の赤だけが見えるのですよね?

蓄光顔料は当たった光を受け止め貯えます(詳しくは科学雑誌などをご参照ください)。そして暗所でその光を放出します。要は、受け止めてから発光するまでエネルギーを蓄えている一定の時間が有ります。という事は、まず最初に光をたくさん吸収しなければ良い効果は得られません。ですので、より透明度の高いベースでなければならない。
ここで色のついた生地に下刷りをしなかった場合。例えば黒の生地に下刷りをせずにプリントした場合、蓄光顔料の脇をすり抜けてしまった光は、全て生地の黒に吸収され反射してくる光はありません。緑の生地であれば緑の光成分だけが乱反射して、ある程度吸収できます。反射して戻ってきた光は蓄光顔料の背中側からも吸収されることを考えると、下地に白をプリントしておくことが、後々の放出される光の量に影響する事が解ると思います。

再帰反射の場合は、事情は微妙に違います。再帰反射のビーズは、透明の球体の中に反射素材が埋め込まれています。外見は白く見えるので、ベースに混ぜてすると若干白のプリントに見えます。ビーズの背中側から反射光が当たってもなんら意味をなさないので、別に白で下刷りしなくても良さそうです。しかし、下刷りしないものと見比べると違いが確かにあります。
ビーズの横をすり抜けた光が黒の場合は吸収されてそのままですが、白をプリントしておくことで、ビーズが反射した光のせいで白も見えるせいでしょう。

*ここに金・銀を含めていないのは、金粉・銀粉は粒径こそ通常の一般色顔料より大きいものの、#300まで可能なパウダーが用意されています。これらを使用して尚、#80でなければならないとすれば、それはスクリーンメッシュのテンションが足りない場合です。

この様な事をご理解頂かずに、ただただスキージ圧を上げて見ても、全く効果は現れません。スキージ圧には適正な値が有りますから、高いスキージ圧は折角被印刷物に乗ったインクを再度欠き取っているに過ぎません(詳しくは別項に譲ります)。

 

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場所がない!

スクリーンプリントを続けていると、何かと場所が足りなくなってきます。逆に言うと何から何まで増えていきます。

最初は予想もしていなかったのでしょうが(笑)特に私なんかのような「ものを捨てることがなかなかできない人」の場合とても厄介な事になります。

ことインクに関してですが、すでにメーカーで用意されている色「のみ」で完結する場合は極めて少ないと思います。「こんな色にしてください」というお客様の要望に応えなくてはならなくなるので、その都度インクが余り、それを捨てずに保管して行くととんでもない量のインクが占拠する事になります。

スクリーンプリントの原理上、プリントには余分な量のインクが必要ですから、作業に取りかかる前にどんなに緻密な計算を行ってもインクは残ります。「次回に少しでも使えたら」といって残したり、調合方法をレシピとして残さず色あわせするために残したりするからです。

水性バインダーの場合はそれほどでもありません。基本、水性バインダーは劣化が早いので、いくら密閉して保管しても、次回には使用できない状態になることが多いからです。気持ちはわかりますが(笑)粘度が上がったバインダー(インク)を水道水で希釈し、粘土を下げて使うような行為は行わない方が無難です。

このような努力をする位なら、経験を積んでプリントする柄(面積)に必要となるインクの大凡の量を予測する技を身につけた方がよっぽど安全かつ有用です。廃棄するインクの金額と、怪しいインクを使用して何かトラブルが有った時の損害(金銭的なもの、信用も含めて)を比較してみましょう。

ではプラスチゾルインクはどうでしょう?

水性バインダーと違い、プラスチゾルインクは劣化の進行が極度に遅いため(決して劣化が0ではありません)残したインクも保管ができます。ここまでお読み頂ければ、オチはもうお解りかとも思いますが、概してインクに占拠されている率が高いのはプラスチゾルインクをお使いになられている方です。長期保管が可能なため、捨てることができずに何時使うか解らないインクがどんどん溜まっていきます。

こんな事偉そうに書ける立場じゃないのは解っています。何度も言いますが、私って捨てられない人ですから(笑)

  • この色(のインク)を作った時、時間がかかって大変だったんだよぉ
  • リピートで注文が来るかもしれないしぃ・・・
  • そもそも、インクを捨てるってお金を捨てる事と同じじゃん!

などなど、色々な反論があると思います。言われるまま捨てていたら、購入するインクが増えるから、これは資材屋の策略だ!とお思いになったあなた(笑)

確かに話がここで終わったら策略かはたまた陰謀だと私もそう思います(笑)

要は、時間がかかって大変にならなくすれば良いのではないですか?
インクを捨てずに、保管するために占拠され続ける場所の土地代は勿体なくないですか?
少しでも広い(もとの)空間で作業できた方が良い仕事ができませんか?

これは水性・プラスチゾルインクに限らず共通していることですが、何らかの接着構造を持った樹脂に顔料を混合してあるものが印刷インクです。

弊社で販売しているExcaliburダイレクトプリントインクを例にとります。
蛍光色を含めて49色有ります。これらのインクを混合して別のインクを作ると、なかなか作れない色があるでしょう、きっと。
近場のお客様に朝一番で訪問すると、インクを混合してこねこねしていました。市内を一回りしての帰り際にもう一度寄ってみると、今度は別の件でしょうか?またこねこねしていました。しかし、聞いてみると実は朝からずっと色作りしても出来上がっていないのでした。超、効率が悪い(笑。。。)

本来、ダイレクトインクのようにロダマインレッドだのアクアだのと言う名前のついているインクは、それらのインク1発でプリントする事を前提としたインクです。色見本一覧を店頭に掲げておいて「どれで刷りますかぁ?」というパターンです。ただ、同じ樹脂なんですから、混ぜて使うこと可能ではあります。

そして実は、混ぜて色を作るインクは別に用意されています。そして混ぜる比率はメーカーで公開しています。Excaliburには551シリーズがそうですが、こちらは混合比率を調べることができるPC用(Windows用)ソフトが用意されていますから、パントンカラーナンバーさえ解れば、朝からずっとこねこねする必要はありません(笑)

「いいんですよ、うちは。インクを保管するも何も、インクは版の上に乗せたまま版上で保管しますから(笑)保管場所は増えません!」

などとおっしゃる方がいらっしゃいます。どこぞのどなたかから聞いた方法か解りませんが、おやめになった方が賢明です。

  • プラスチゾルインクは徐々に可塑剤とPVCが分離します。て事は、分離した可塑剤がスクリーンメッシュを痛めます。
  • 同じく、分離した顔料がスクリーンメッシュ(ポリエステル・ナイロン繊維)に固着します。
  • クリーンルームでプリントしているならいざ知らず、埃の混じったインクをプリントするのでしょうか?(笑)

 

帰ったら部屋のいらないものを捨てなくちゃ(笑)

 

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