版をアルコール(メタノール)で洗う?
書く時は連続してUPしたりしますから厄介です(笑)
さて、今回も版の件です。
印刷を終え、その版を2度と使わない場合、落版します。「版の再生」とも言います。
紫外線露光した感光乳剤を落とす場合、良質な再生液(落版剤)を使用しないと、とっても手間がかかります。前回の記事で書いた通り「しっかり」焼いた版は落としづらくもあるので尚更。とりあえず、全ての感光膜を落とす事ができていたとします。
さて、この版を使って新たな版を作ろうとなった際に、あなたは版を脱脂していますか?
前回落版した後、全く埃の無いクリーンルームの様な場所で版を保管している方はとても少ない。って言うか居ないでしょ、まず。
極端な話、スクリーンメッシュに余計なもの。つまり埃などが付着していればいるほど、いくらきちんと露光しても、その版は壊れやすくなります。スクリーンと紫外線感光体の間に異物が挟まっているんですから当然と言えば当然です。
落版した際にいくら念入りに洗浄した場合でも、再度使用する時には一旦脱脂洗浄して下さい。
こういった説明をすると、時折「自分はエタノールで洗浄していますから大丈夫です」とおっしゃる方に出会います。
これって本当に脱脂できていますか?
「なぜ脱脂剤で洗浄しないんですか?」とお聞きすると、決まって次のようなお答えが。
- 水道水を使うと後の乾燥が大変です(エタノールは揮発性が良いので)
- 専用の脱脂剤は高いので
- 近くの資材屋さんにそう教えてもらいました
水性バインダーを使っている場合は、まだ良いのですが、特に、溶剤型のインクを使っている場合や、プラスチゾルインクを有機溶剤で洗浄している場合、版は溶剤まみれと言って過言ではない状況です。
これをアルコール類で洗浄しても落ちません!
アルコールは有機溶媒にはなり得ても、界面活性剤では無いので、落としたい有機溶剤を包み込んで揮発する事はあり得ないので。
有機溶剤まみれの版をアルコール類で洗浄すると、版の上で有機溶剤がアルコールによって薄まります。そしてアルコールだけが揮発します。さて、何か残っていませんか?という事です。
アルコール類で版の線上を仕上げている。これをやめるだけで、版画壊れる回数は格段に減らす事ができます。