シルバーからゴールドを作る
前回の記事中にちらっと書いてしまったので、詳細の解説をしますこんなに度々投稿は、あまりしません(笑)
色(顔料)のオレンジは黄色と赤色を混色して作ります。そして、茶色は黄色と赤色に「青色」を混色して作ります。
青では無く、黒を混色してしまうと、濁った色になってしまいます。
赤:黄:青=49.5:49.5:1
位の割合で混色して、赤と黄の比率を増減する事で様々な色合いの茶色を作る事ができます。
ただし、赤や黄と言っても、色々ありますので、弊社の顔料を基準にしての比率です。
なぜ茶色の作り方かと言うと、光る茶色がGOLDなので、シルバーラバーバインダー(SRB・SRB-M)に茶色を混ぜるとゴールドのラバーバインダーになるからですね。
ただ、気をつけて頂きたい事が。これとっても重要です。
シルバーラバーバインダーSRBやSRB-M に使用しているアルミと、今回新発売になったゴールドラバーバインダーGRBに使用しているアルミは性質が違います。
シルバーラバーバインダーに使用しているアルミは、水性顔料で着色しやすいのですが、ゴールドラバーバインダーに使用しているアルミは着色できません。
なので、ゴールドラバーバインダーの色が微妙に気に入らない時に、顔料を加えて色味を変更する事はできないという事です。できたように見えるのですが、微妙におかしいと思います。と言うのは、アルミに直接着色できていないので、その他の成分、つまり樹脂分に着色されてしまいます。
見かけは、ゴールドラバーの上に微かな色(加えた顔料の色)が薄く被さったようになってしまいます。これは茶色を加えた場合に限りません。
これに対して、シルバーラバーバインダーでは、含まれているアルミに顔料が直接着色するので、茶色に限らず様々な顔料を添加して、メタリック感の有るインクを作る事ができます。
結論として、ゴールドラバーバインダーとは違った色のゴールドのインクを作りたい場合は、シルバーラバーバインダーに顔料を加える事になります。
この現象は、他社製品にも同程度に適用できます。他社製品の水性インク(シルバー)に顔料を添加して、ゴールドを含むメタリックインクが作れるのかどうかは、私は一切保証ができません。お使いのインクのメーカーに問い合わせてみるか(多分、なんでもかんでも大丈夫って言いそうですが)、ご自身でお試しになって、満足のいく物ができるか確認して下さいね。
ここからは、ご参考にまでですが、少し詳しくご説明します。
そもそも、水性バインダーは水性エマルジョンという、水系の媒質に樹脂が分散されている分散体です。そして(弊社で扱っている)水性顔料も、分散剤に顔料が分散されている分散体です。それぞれが、媒質に対して分散剤を使用して別の物質を分散させているエマルジョンなのです。
弊社でも粉末状の顔料を販売していますが「水に溶けますか?」と聞かれても「溶けますけど、分散できませんよ」とお答えするようにしています。要は、長期間均一に混合したままでは居られません。混合してまもなく沈殿が始まります。これは、水だけだと分散剤が存在しない為です。
時折「水性バインダーに購入した顔料を混合してプリントしたがすぐに滲んでしまう。」というお話を聞いたりしますが、これは分散剤が原因の場合があります。水性バインダーの分散剤と水性顔料の分散剤の相性が悪かったのか、いずれかの製品が粗悪だったか(笑)勿論、技術上の問題かもしれませんけど。
勿論、どのような分散剤でも恒久的に分散している事はできないので、粒径の大きい顔料ほど、長期間経てば少しずつ沈殿はします。
ちなみに身近な所のエマルジョンと言えばマヨネーズ。どこのメーカーの物でも、相当長期間経つと、商品の側、特に口の近く側が若干変色しますよね?あれは分散がほどけて分離してきているという事です。
その他にもシャンプーやリンスもそうです。シャンプーなんか、古くなってくると水っぽくなってきませんか?ポンプの仕組みだと思いますけど、分離してしまった樹脂分が先に使われて、最後の方に水分が多くなった物が残るからでは無いでしょうか。