水性バインダーか?それともプラスチゾルインクか?

今回のお題については、これまでにも何度か書いた事があります。
ただ、ここ最近フリーダイヤルやメールでのお問合せの中でお話しする機会が多くなっているので、今一度整理のつもりで書きます。

この質問の多くは、これからスクリーンプリントを始めようとしている方や、始めて間もない方に多いようです。

逆に「今、どちらを選ぼうと思っていますか?」「どうしてそちらなんですか?」と質問させて頂く事がほとんどです。
そして、水性バインダーに関心を寄せている方の多くは

  • プラスチゾルインクの場合、乾燥に高価な機材を必用とするから
  • プラスチゾルインクの場合、洗浄などに溶剤を使わないといけないから

プラスチゾルインクに関心を寄せている場合は

  • 水性の場合、版が詰まるから
  • プラスチゾルインクはプロが使うインクだから

理由の多くは上記のような物です。
そして上記4点は「正確に言うと」全て間違っています。

「プラスチゾルインクの場合、乾燥に高価な機材を必用とするから」
乾燥の質を求めるのならば、水性バインダーも高価な熱乾燥機で最終乾燥した製品の方が、洗濯堅牢性は間違いなく上です。最近の水性バインダーは、著しく性能が向上しています。ですので、熱乾燥しなかったからと言ってあっという間に剥がれてしまう、なんてことはありません。しかし、やはり熱乾燥を加えた製品の方が良いのは間違い有りません。

「プラスチゾルインクの場合、洗浄などに溶剤を使わないといけないから」
プラスチゾルインクは本来メーカーの想定は、水性化溶液を使って水洗で洗浄します。こう言うと、多くの方が驚かれます。プラスチゾルインクは成分がプラスチック(PVC)ですので、そもそも何らかの溶剤でこれを溶かしていけないと思われています。そして、その性で「プラスチゾルインクは油性」という間違った解釈をしておられます。
じゃぁ伺いますが(笑)「木」は水性ですか?油性ですか?ガラスは油性ですか?水性ですか?
水性バインダーは、水を溶媒として、アクリルやウレタンの樹脂がエマルジョンとなっていますから、これは水性と言って間違いはありません。
溶剤型インクというのもあります。こちらは溶剤を溶媒として、様々な樹脂が混合されていますから油性です。
これに対してプラスチゾルインクは、PVC・塩化ビニルに可塑剤を加えてゾル化したものです。油性の溶媒が存在する訳では無いのですから、油性でも無く水性でもありません。
話は戻りますが、メーカーの推奨はプラスチゾルインクを水性化する溶液を使っての水洗です。しかし、コストを比べると溶剤で溶かしてしまってウエスで拭き取る方が安価になります。一番安いと思われる方法は、一般家庭にもあり得る灯油で溶かす事です。酷い臭いを覚悟すれば。
要は、健康被害を取るか金欠を取るか?(笑)

「水性の場合、版が詰まるから」
他の全ての条件を同一とした時、インクが版の途中で落ちきらないのは水性もプラスチゾルインクも全く同じです。落ちきらないインクが、自然乾燥してしまうが故に、水性バインダーの場合は版詰まりを起こす可能性が高い。
プラスチゾルインクを使用している方で、インク返しを行っている方はほとんど見かけません。そんなのしなくたって、綺麗なプリントができていれば問題は無いんです。そりゃそうです。ただし、インク返しを行う方が、一度のスキージストロークでの落とせるインク量は「若干」ではありますが、多いのです。これは、実際にやってみて頂くと解ります。

「プラスチゾルインクはプロが使うインクだから」
いやいや(笑)色々なところで色々なプロが水性を使っています。
はっきり言いますが、こんなフレーズをはやらせたのは「プラスチゾルインクを是非売りたい販売店側」の陰謀です(笑)

私は、某ユ〇〇ロや〇まむ〇などに行くと、店員さんの陰に隠れて(笑)プリント部分の臭いをかいでいます。いわゆる職業病ですね(笑)職業柄、臭いをかぐだけで、使ったインクが解ったりします。これ、資材屋のプロとして当たり前の事だと思っていますが、なんで臭いをかぐのかというと、インクによってプリントの質感が微妙に違うからです。

これは、水性ラバーバインダーと、プラスチゾルインク(ラバータイプ)でも違います。勿論、それぞれの中で、メーカーによる違いも有ればインクタイプでの違いも有ります。

要は、自分がどのようなプリントを作り上げたいかという見地からインクを選定すべきなのでは無いかという事です。

版が詰まるから、努力は置いておいて、詰まらす事の無いこっちで良いや!

とか、

熱乾燥するの面倒くさいから、こっちのインク使っておこう!

では、良い物はまったく作れないんじゃ無いかなと思います。

 

ここ最近、プラスチゾルインク・Excalibur に1/2Pint(パイント)の製品を追加しました。1Qt(クゥオート)の1/4の量になります。
プラスチゾルインクを使用したいけど、まだまだ使用量がそれほどでも無いし、でもいろんな色を使いたい。でも全部1Qtずつ購入したら結構な金額になってしまう。そういったご相談をたくさん頂いての決心です(笑)
水性バインダーには、従来からMiniシリーズ(500g)があります。

 

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