いつまでも終わらない、ブリード(再昇華)の悩み
とっくに冬が終わり、春の終わりが近づくと、毎日が段々忙しくなってきます。ウエアー、特にTシャツポロシャツ関連は夏が本番ですから、我々資材屋もこの時期になると忙しくなってくるのです。
同時に、ご質問やご相談の件数も莫大になってきます。
で、ここ最近、ほぼ同じ内容のご相談が続くのでご説明させて頂きます。
「プリントして熱乾燥したらボディの染料がブリード(再昇華)しちゃうんですよね。で、『このインクでばっちりです!』と言われたので購入してプリントしたら、ブリードの塩梅はだいぶ良くなったのですが。結果、お客様から『(プリント部分が割れて)剥がれたぢゃないか!』とのクレームがおきまして・・・・・」
そもそもブリード(再昇華)してしまうボディにたいして、ブリードを完全になくす方法は有りません!
反応染料など、繊維と化学反応させて着色している場合はともかく、現代のポリエステル生地の多くは「個体から気体に熱によって変化させる」ことで繊維に着色しているからです。
「ぢゃぁ、熱をかけなければ良いんでしょう?」というのも、ブリードの時期を遅らせているだけ(出荷するまでの間は再現しない)で、後々ブリードは現れます。それは、使用しているプリントインクには接着力があるからで、その接着力も染料を繊維から引き剝がしてしまうからです。
ですから「このインクでばっちりです」と言う意味は私には解りませんし(笑)
上記でご説明した内容を知っててそう言う方の人間性も解りません(笑)
また、インクが割れて剥がれたという状況から、あくまで推測ですが、そのインクには相当過大な顔料が含まれているのではないかと思います。染料とインクの粒径を比較すると、顔料はとてつもなく大きいので、インクの樹脂にいくら顔料をたくさん入れても、小さい染料はその隙間をいともたやすく通り抜けてしまいます。
ですから、ブリードへの正しい対処法は
- 事前にテストプリントして、そしてテストプリントは無理としても、お客様にブリードの可能性をご説明しておく
- ブリードが好ましくなければ、他の(綿100%など)素材のボディをお勧めする
- ボディメーカーに品質向上を切に訴える
- 親切な資材屋を見つけて相談する(笑)
です。
さて、でもやっぱり「なるべくブリードしないようにするにはどうしたら良んでしょう?」
という事で、プラスチゾルインクを使用してプリントする場合の弊社のお勧めです
- BlockOutSuper(添加剤)を混合する
- AHOI(耐再昇華インク)を使用する
- 上記1と2を混合する
1に関しては、どのプラスチゾルインクにでも大丈夫かどうかはお問い合わせください。
もともとExcaliburインクに最適化していますから、それ以外のメーカーは少し効果は落ちます。
そして、2ですが、AHOIインクはこれまで「白」「赤」「黄」の3色しかご用意していませんでした。
特に、この3色のプリントインクの需要が多く、またその他の色は都度作るにはコストがかかりすぎていたためです。
そこで、今回AHOIインクに「クリア」いわゆる透明をご用意いたしました。
「クリアじゃ使い道ないぢゃん!」と言わないで下さいね(笑)以下のように応用してください。
- 印刷部分すべてに下引きする
- AHOIクリアに水性顔料を添加して色々な色のプリントインクを作る
下引きする場合も、仕上がりが透明ですから、重ね刷りの際の微かなずれもほぼ目立ちません。
これまでもClognonインクという物があったのですが、色がグレーだったのです。
また、水性顔料を添加する事で、ほぼ無限の色数を作れることになりますが、1点だけ注意しなければなりません。
この場合だけ、ナイロンボンドを添加してコーチジャケット(弱撥水生地)などにはプリントできません。
なぜなら、ナイロンボンドは水分に急速に反応してゲル化してしまうため、水性顔料と反応してしまうからです。
最後に、遅ればせながらですが(笑)Web-Stanceにてお買い物をして頂くと、弊社職員が丁寧に梱包して発送させて頂きます(笑)
左が梱包状態で、右が日本郵便で発送する直前の状態です。