インクの保管方法
生ものはどんな物でも使用期限という物が存在します。それは空気に触れることで様々な形で化学変化するからだと、思う(笑)
さて、シルクスクリーンに使用する「インク」も生もの?
生ものかどうかはさておき、水性バインダーは空気に触れることで蒸発乾燥します。また、いくら「密閉」保管していても、樹脂とターペンが少しずつ分離します。
※ターペンレスバインダーは除きます。
対してプラスチゾルインクはどうでしょう?
プラスチゾルインクは一定の熱が無ければ硬化しません。しかし「熱が無ければ硬化しない=劣化しない」という等式は成り立ちません。
勿体ないと思わない方は(笑)お試し頂ければ解りますが、インクバケツを開けっ放しにしたまま放置してみましょう(笑)
水の沸点は100度(1気圧で)ですが、室温でも蒸発します。なぜでしょうか?
密閉した透明容器の蓋に水滴がつくのをご覧になった事が無いでしょうか?空気中にある水は、常温でも蒸発→液化を繰り返します。
水が空気に触れない場所から気化する温度が「沸点」で、水は沸点以下でも、空気に触れている部分からは「蒸発」します。
この現象は水だけではなく、すべての液体に当てはまります。
プラスチゾルインクのの中にある可塑剤(PVCを柔らかくする物質)の沸点は(物質によりますが)155度程度です。が長期間放置すると、水と同じようにやはり蒸発します。
水性バインダーも、プラスチゾルインクも密閉容器に保管するのが原則だという事が解ります。
時々頂く質問に「プラスチゾルインクは、使用後の版を(インクを掃除しないまま)そのまま保管できますよね?」という話がありますが、全くお勧めしないのは以上の理由です。
それに、保管している間に埃がついて「このまま刷っちゃうの?」という状態になってしまいますけど(笑)
インクを選ぶ判断基準の第一はあくまで「印刷後のできあがり」に置くべきで、その後に扱い易さを持ってくるべきです。
水性(水系)バインダーは乾燥が早い分、版詰まりを起こしやすいインクですが、洗浄は簡単です。
プラスチゾルインクは熱硬化のため版詰まりは皆無ですが、洗浄は専用薬剤を使用しなければ水洗できません。
また、水性バインダーをお尻に付いた事に気づかずに車を運転しても、最悪運転席の椅子にインクが付着する程度で済みますが、プラスチゾルインクはインクの付着に気づかないでいると、どこまでも感染が拡がります(笑)最悪、奥様お気に入りのソファーまで汚す事になりかねませんから(笑)
本題からかなりずれましたが(笑)インクの保管は密閉容器で。そして、あまり温度変化のない場所に保管しましょう。