金・銀の基本
金は茶色が光っている色。銀は灰色が光っている色。ただこれだけなのに難しいことが沢山起きます。
今回のお話は水性バインダーであれ、プラスチゾルインクであれ、もっと言うと溶剤型のインクでも同じ原理です。
いつもだらだらと長ったらしいお話になるので(笑)、今日はまず要点を書きだします。
1.真鍮粉メッキの金・銀は錆びる
2.真鍮粉金・銀のインクを使う場合は版のメッシュに気を付けましょう
3.あなたの金・銀は本当に金?本当に金?
さて、1
水性バインダーの場合は、適当なバインダーに金粉・銀粉を混合して使いますが、これら金粉・銀粉の多くはメッキを施したもので、正体は真鍮粉です。ですので、経年で錆びます。防錆剤(ぼうせいざい)を入れるとだいぶよくなりますが、錆び0にはなりません。
対してプラスチゾルインクの場合。これも錆びます。
知識のない業者は「油性だから錆びない」などとぬかしたりしますが(笑)そういう業者に限って、届けられてすぐのインクの蓋を開けるとすでに錆びていたりします(笑)
離せば長くなりますから要点を言うと、プラスチゾルインクは油性ではないからです。水性でもないです。
鉄は水性ですか?油性ですか?
綿の布は水性ですか?油性ですか?
これと同じで(例え方は極端ですが)プラスチゾルインクも水性でも油性でもないです。ただ、多くの方が、プラスチゾルインクを使った版の洗浄に何らかの有機溶剤を使っていたりしますし、水道水だけでは洗えないから「油性」と言っちゃってるだけです。
錆びは水に触れる以外にも、というかそもそも錆びるっていうのは「酸化する」という事ですので、空気中の酸素分子と結合することで錆びますよね。
じゃぁ錆びない金・銀はないの?
という事で、アルミを使ったインクを使用しましょう。
間違ってはいけないのはアルミだって錆びるのですが、アルミは表面以上、内部深くまでは錆びないという違いがあります。
次に2.
これまたびっくりする話ですが、インクに入っている粉の粒径によってはメッシュを選ばなくてはいけないという事実を認識していない業者が世の中には存在するらしいという事です(笑)
一般にプラスチゾルインクの金・銀(シマーインクと言います)は#120では無理で#80メッシュ以下を使用しなければなりません。
※詳しくは粒径より大きいオープニングのスクリーンを使わなければならないので、#100でも可能な場合は有ります。
ちなみにグリッター・ラメになると#40です。
同じ理屈で考えると、水性バインダーの場合は混合する粉の粒径を知る事が先決です。
ちなみに弊社がお勧めする金粉は#350まで、銀粉は#300まで対応しています。アルミは#120です。
これって意外と大切なことで、これまで白・黒とかの一般色で刷っていた柄を、今度金・銀で刷らなくてはいけないという場合に、版を(メッシュを)作り直さなければならなくなるか、そのまま使えるかという事でもあります。
さて、3.
一番の冒頭に書いた通り、金・銀は茶色・灰色が光っている色です。
あなたがプリントした金・銀は光っていますか?
Tシャツやポロシャツなどの繊維製品にプリントする場合、それらの生地の表面が細かく凹凸しています。これが幸いして光が乱反射しますから、インクの表面に艶があれば概ね光るようになります。
が、水性バインダーでもプラスチゾルインクでも、主成分である樹脂が濁っていると、その分キラキラ感が落ちてしまいます。
これは金・銀などのシマーインクに限らずグリッター・ラメでも同様です。
また、粉という異物を加えられると樹脂は増粘します。なので、もともとのバインダーやベース・プラスチゾルはより粘度が低いものを選ぶべきです。
弊社で現在販売している最高の輝度を持つインクは
水性では
シルバーラバーバインダー(SRB) ですが、もうじき、もっと綺麗なシルバーインクを発表します。
なぜ金はないかというと、SRBに水性顔料の赤と黄色を混合すると出来上がってしまうからです。
でプラスチゾルインクでは
シャインゴールドとシャインシルバー です。本当は、もっと綺麗な金銀は可能ですが、そのうちお知らせいたします(笑)