インクの乾燥ープラスチゾルインク編ー
今年の台風(9号)は珍しく北海道の各地にまで被害をもたらしました。
わが社のある北海道は台風はもとより梅雨もなく、おまけに札幌近郊は地震も少ないという、こういった点では他地域の方からは羨ましがられる地域ではあります。
よく勘違いされる「熊」は札幌には滅多に出ません(笑)
なんでこんな話から入るかというと、やっぱり今日の内容に関係するのですが、インクの乾燥に関して、いまひとつしっかり認識して頂きたい事があるからです。
今回説明する「プラスチゾルインク」は、一定の温度と時間を必要とするインクです。
インクメーカーは例えば「160度で40秒」などと明示しています。
これは乾燥時の印刷インクの「表面温度」が160度で40秒です。乾燥機の温度表示が160度で安心していては危険だという事です。
昨日ご質問頂いたお客様とお話している内に分かった事ですが、(トンネル)乾燥機を使用しているが、機械を納品した業者が温度設定のダイヤルを「このあたりにして使ってください」というような説明をしたらしいのです。
その業者さん、その部屋の風向きとか、湿度とかがいつでも一定だと思ってるんでしょうか?(笑)
まさかと思われるかもしれませんが、通常の向きと90度変更して設置すると、トンネル乾燥機の中を通るインクの表面温度は10~20度くらい変わろ事が多いのです。信じられないかもしれませんが本当です。これは部屋の中には空気の対流があるからです。
湿度が上がると、温度は下がります。梅雨の時期には部屋の湿気が多く温度は下がりますし、プリントしたボディも水分を含んでいると、インクの表面温度は下がります。嘘だと思ったら実際に計ってみましょう(笑)
ちなみに、トンネル乾燥機の入り口と出口の温度はかなり下がっています。乾燥機の炉長がとても短い場合は、既定のインク温度に到達している時間が何秒間か計測してみましょう。炉の真下を1分間ながれていても既定の温度になっている時間が15秒位かもしれませんよ。繰り返し3回乾燥しないと、後々インクがはがれるかも知れません。
このブログにも何度か登場させていますが、放射温度計で1日1回、その日の作業を開始する前に温度テストをすべきです。
amazonでも売ってます。安いのなら1,000円台で買えます。いつ壊れるか知らないけど(笑)
蛇足ですが、トンネル乾燥機を使用する場合と、熱プレス機を使用する場合では当然、乾燥時間は違います。海外のインクメーカーのHPなどにはきちんと掲載されています。
トンネルの様な非接触の場合はプレス機の様な接触の場合より時間短いのが常識です。某Y社さんのHPでは間違っていますが(笑)