こんな部分でわかる、落とし穴の見分け方(その弐)
前回箇条書きに4つほど書かせて頂きましたが、それぞれを解説してみます。まず今回は最初の2つ。
1.版枠ぎりぎり(枠の際から5cm以内)まで製版できると謳っている。
2.(↑と似ています)製版サイズを稼ぐために、アルミフレーム(枠)の太さをスリムにしていると謳っている。
そもそも、シルクスクリーン印刷の基本である「オフコンタクト」と「スクリーン版のテンション」を考慮に入れると、版枠の内側7cm以内に印刷デザインを入れるとインクを透過させることは不可能になります。
版(スクリーンメッシュ)と被印刷物の間には隙間(オフコンタクト)が存在し、スクリーンメッシュが適正な張力(テンション)で張られていれば、どんな硬いブレード(ゴム)でスキージストロークを行っても、その隙間は届かない。
もしも、これが届くのであれば、逆に以下の原因が考えられます。
1.スクリーンメッシュのテンションが少ない(緩い)
2.オフコンタクトがほぼ「0」に近い
3.使用しているインクの粘度が極端に少ない(緩い)
でも、これでちゃんとプリントできているんだからいいぢゃないか!とおっしゃるならどうぞ(笑)
お気づきかもしれませんが、市販されている某「〇〇くん」はこれに近いのです。
かの商品は、スクリーン版をフィルム上で作成した後に枠にはめ込む「簡易な」構造になっています。なので、おのずと版にテンションがまるで無くなります。このことによって起きる弊害をカバーするため、推奨の専用インクは粘度が緩くできています。
弊社にお寄せいただくご相談やお悩みの内
1.印刷が滲むんです
2.濃いインクが欲しいんですが・・・
3.低メッシュの印刷で紗が寄ってしまうんです・・・・
4.多色印刷の色と色がずれるんです(版は正確に作っているのに・・・)
5.水性インクを使っているんですが、版がすぐ詰まってしまって・・・
あぁ・・書ききれないので以下省略(笑)
上のようなご相談の多くは、版に起因します。
お電話やメールでのご相談ですので、現物は拝見していませんが、
1でインクの粘度を硬くしても
2で濃いインクをお勧めしても
結果はほとんど改善しないでしょう。「うちのインクは良いですよ。一度使ってみて下さい」と、インクを販売してから、上手くいかずに「あぁ、どうしてでしょうね」とか言った方が、余計なものまで売れてしまいそうですが(笑)
最後に、しつこいようですが「でも、これでちゃんとプリントできているんだからいいぢゃないか!」とおっしゃるならどうぞ(笑)
ちゃんとなんてできていないと思うけど(笑)
次回は、可能であれば(笑)残り二つについて書いてみます。