スキージブレード(ゴム)の選び方
つい先日の事ですが、ご相談のお電話を頂いた方にこんな事を聞かれました。
「例えばスクリーンメッシュをWebで販売しているところが何社かありますけど、同じ番手でも値段が違うのはなぜですか?」
その時の私の回答を要約すると
「正確にお話しをすると、本来スクリーンメッシュは同じテトロンメッシュでも、使われている糸の品質の違いがそのまま伸度の違いになるので、版の寸法精度に現れるのです。ですから、同じメーカーでもさまざまな品質のスクリーンを用意しています。極端な話、ウエアにプリントする場合と、携帯電話などの小さなプリント基板にプリントする場合では要求される寸法精度に違いがある事は容易に想像できますよね?ですので、誠意のある販売店でしたら、必要十分な精度が実現できる中で、より低コストなスクリーンメッシュをお勧めすると思いますよ。」
「#120以下などの、ウエアにプリントする場合のスクリーンメッシュの価格に違いがあるのは、その販売店ごとにの仕入れコストや、運営コストなどの違いから、算出される販売価格に違いができるのはごく当然の事と思います。買う側からすると、同じ品質ならばより安価な方が良いのは事実ですが、くれぐれも安物買の銭失いだけにはならない様にお気を付けください(笑)ちなみに、扱っている製品が高品質というのでしたらどこのメーカーの製品ですかと聞いてみるのも手でしょうね。ふつうのお店なら答える事ができるはずです(笑)」
「最後に、ちなみにですが、シルクスクリーン印刷を始めてまだ間もなく、知識も技術もまだ発展途上なお客様には判断のしようがないのかもしれませんが、きちんとしたシルクスクリーン資材販売のプロが見たら、ちゃんちゃらおかしい事を書いて販売しているショップは雨後の筍の様に増えていますので(笑)お気を付けください」
という前置きはさておいて(笑)予定していた「スキージブレード(ゴム)の選び方」です。
前回と違い、今回はスキージゴムの硬さの選び方ですが、結論から言うと、刷る人によって違います(笑)
シルクスクリーン印刷では、インクの落ちる量(スクリーン版を通過するインクの量)はスキージが移動するスピードと、スキージブレード(ゴム)のアタック角度(スクリーン版と接する角度)の違いです。これ以外の何物でもありません。
世の中には「プラスチゾルインク用スキージ」だとか「水性バインダー用には6mmのスキージ」とかいうところもございますが、これは一般的な確率ではそうと言うだけです。
力の弱い女性が、プラスチゾルインクの固いインクを使う場合とプロレスラー並みの腕力の有る女性が刷る場合は、同じ厚さの、同じ硬度のスキージを使った場合印刷の濃度に違いが起きます。
「ぢゃぁ、結局どれ使えば良いの?」と言われると、まず弊社では今までどのようなものをお使いなのかをお聞きします。そして、今どのようなプリント結果が出ているのか?
極論を言えば、どのような硬さのスキージを使おうと、その時々で印圧を変える事が出来れば問題は無いのですが(笑)人間ですもの、なるべく疲れないに越した事はありません。
機械の様に、一度設定してあげたらず~っと同じ条件で繰り返す事ができるのならいざ知らず(笑)人間ですもの、何度も繰り返している内に易きに流れます(笑)
例えば20cmのスキージを使う場合と40cmのスキージを使う場合に同じ力で刷るとどうなるでしょうか?
同じ力が20cmから40cm、倍になると1cmあたりにかかる力は半分になります。そうするとゴムのたわみが少なくなります。アタック角度が大きくなる(傾斜が少なくなる)のでインクの落ちる量は減ります。
また、前回の記事にも関連しますが、劣化の早いゴムを使っている場合、全く同じ版で同じ粘度のインクを使っているのに、前回よりインクが落ちない・・・という事態になったりします。そうです、ゴムが劣化して硬化したため、同じ印圧で刷ってもアタック角度が大きくなってしまうから起きる現象です。
でも、全く初めてとか言う方には基準が何もないというのも困りもの。
「まずは70度という、一般に多く使用される硬さを使ってみて下さい。でも、一発で上手くいかなくても文句言わないでね(笑)私、貴方の彼氏でもなんでもないから(笑)上手くいかなかったら、その都度状況を教えてください。絶対上手くいくよう応援しますから(笑)」
ただし、冒頭に出したお客様にもお話ししましたが「今、問題が起きていないのならば、何も無理して変えなくても良い」のです。
せっかく買ってくれそうだったのに「買う必要ないと思いますよ(笑)」って言っちゃうんです、わたし(笑)あぁ・・・