シルクスクリーン印刷・最近の傾向

「シルクスクリーン印刷の道標」の始めにあたって、この業界の現況について。

シルクスクリーン印刷の特徴として「同じ印刷を多く刷れば刷る程コストが下がる」事が挙げられます(勿論、特徴は他にもあります)。

ですので、シルクスクリーンを専業で営んでいる事業者様が、下請けの形で印刷する場合が多く、これまでは印刷から販売まで一貫して行ってる方は少なめでした。

というのも、シルクスクリーン印刷はどのような素材(形状には制限があります)にも印刷(密着)できるという特徴がありますが、これは逆に言うと、相当多種のインクを用意しておかねばなりません。また、適用するインクを選定する知識と経験を必要とします。ですので、印刷は印刷屋、販売は販売屋という場合が多かった訳です。

もう一つの特徴として、シルクスクリーン印刷に取り組む上で、初期導入コストが他の印刷形態、例えばオフセット印刷などが数千万円から億円単位でかかるのに対して、シルクスクリーン印刷の場合は、かかっても数百万円で済むという事が挙げられます。

こういった特徴から、比較的新規参入のし易い状況であり、これまで外注していたが内製化する事で製品のコストを下げたいという方。また、デザイン志向の方がご自身のデザインを世に問うため、自らシルクスクリーン印刷を行いたいという方。こういった方々が最近は徐々に増えています。

しかも、驚かされる事に、突然(前触れも無く)弊社までお越し頂き『Tシャツにプリントするインクを下さい』とおっしゃる方が時々いらっしゃいます。良く良く伺ってみると

 

1.近所の人が町内会のTシャツを作るため業者を探していたので、自分が刷ってあげると請け負った。

2.シルクスクリーン印刷に関しては、ネットで動画を見ていて知っているから刷れます。

3.印刷する枚数は200枚です。

と、こうおっしゃいます。最後には『良いこずかい稼ぎになると思ってます』

 

これは極端な例ですが、いかにも「シルクスクリーン印刷は大した知識も技量も必要とせず簡単だ」という間違った認識も多く見られます。

個人で楽しんでいる方も多く、特にデザイン系の専門学校様や大学にはシルクスクリーン印刷の講座を開講されているところもあり、生徒さんや卒業生の方々は、コストよりも完成品の風合いを重視していらっしゃいます。

 

デフレ経済になって久しい日本ですが、最終製品が完成するまでのコストを最小限にする。その為には、比較的コストのかからないシルクスクリーン印刷は最適なのかもしれません。

 

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