スキージの選び方
今回は「スキージの選び方」、次回予定は「スキージブレード(ゴム)」の選び方です。
「どう違うの?」と思われた方は次回も欠かさずお読みください(笑)
それ以前に「スキージなんてなんだって良いぢゃん!インクを引く事が出来れば定規でもOK」などというご理解の方は、今回も次回もスキップしてください(笑)
スキージの大切な部分は、ゴムの硬さと厚さです。ここら辺の詳しい話は次回の「スキージブレード(ゴム)の選び方」で書きます。
それ以外に大切な点は
イ)ゴムの材質
ロ)スキージハンドルの強度
です。
勿論お値段も大切な事ですが、あんまりお安いものは上記の2点は深く考えられていません。
イ)ゴムの材質
ゴムは長く使う間に劣化します。水性インク(バインダー)を使っている場合、使用後のスキージブレードの洗浄は水道水ですからあまり影響はありませんが、油性インクを使っている場合には何らかの有機溶剤でゴムを拭う事になります。
あまり品質の良くないゴムは有機溶剤を吸収し膨潤します。これが繰り返されると、ゴムはあっという間に硬化しいずれボロボロに崩れたりします。某C社や某M社のスキージ(笑)はこれに当たります。
ここまでは行かないにしても、ゴムが硬くなるという事は、印刷時のアタック角度が変化してしまい、いつもと同じようにプリントしているのにインクの落ちる量が減る事になりますから、1ストロークでの印刷濃度が足りなくなってしまいます。
ここでたとえ話です。
貴方は卵が大好きで毎朝卵1個でスクランブルエッグを作るとします(目玉焼きでも可)。
さて、昔ながらの頑固おやじがやっている八百屋さんに行くと10個1パックが180円でした(現在の相場とは一切無関係です(笑))。
「う~む、、ちと高いな。」と思い、通り過ぎて隣のスーパーに行くと、10個1パックが140円だったのでこちらを買う事にしました。ただ、この時、貴方はパックに貼ってある「消費期限」のシールを読んではいませんでした。
さて、1週間たって8日目の朝。冷蔵庫を開けると、既に食べられなくなった卵が3つ残されていました。はい。スーパーで購入した卵の消費期限は1週間でした。
「ちっくしょ~」と思い、もしやと思ったあなたは頑固おやじの八百屋に電話して「お宅で売ってる卵パックの消費期限ってどのくらい?」と聞いてみました。
「3週間は大丈夫だよぉ~」
「・・・・」
さて、貴方はどちらの卵を買った方が得だったでしょう?
(答え)
スーパーの卵は結局7個しか食べる事ができなかったので140÷7で1個あたり20円。
対して八百屋の卵を買っていたら180÷10で1個当たり18円。
ロ)スキージハンドルの強度
ここは案外見過ごされている点ですが、水性バインダーの場合はあんまり影響は有りませんが、粘度の高いプラスチゾルインクを使用する場合に影響がある場合が有ります。
この3つのスキージハンドルの違いは何でしょうか?
左からゴムの厚さは8mm・9mm・6mmです。
答え
・8mmおよび9mmのスキージは6mmのそれに比べてゴムを挟んでいる部分の木の厚さが当然の様に薄い
・8mmのスキージは9mmおよび6mmのそれに比べて木の年輪の幅が大きい
・ゴムの色(笑)、、、ゴムの材質が違う(これは写真では解らないと思いますが)
6mmのゴムのスキージは、ゴム自体を挟んでいる部分が厚いのであまり起きないのですが、8~9mmのゴムのそこは、比較すると薄くなっています。
スキージストロークを繰り返す事によって、ここがバキっと折れてしまう事がままあります。
それはえてして広葉樹を加工して作ったスキージハンドルの場合に多発します。それも、ゴムはまだまだ使えそうなのに(笑)
右二つのスキージはアラスカ・スプルースという針葉樹を使っています。
左の1本は、(弊社のものではないので)いつも親しくしている木加工業の社長に聞いてみたところ
「これって、多分、アメリカ桐だな。ちなみに桐は木科じゃなくて葉科だよ。」
「・・・(をい、広葉樹以前の話かよ)」
スキージは言ってみれば消耗品です。摩耗すれば交換するしかありません。でも、できる限り長く使えた方が良いのではないのかと思います。
ちなみに、
これは割れる事が無いスキージハンドルです(笑)
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