場所がない!
スクリーンプリントを続けていると、何かと場所が足りなくなってきます。逆に言うと何から何まで増えていきます。
最初は予想もしていなかったのでしょうが(笑)特に私なんかのような「ものを捨てることがなかなかできない人」の場合とても厄介な事になります。
ことインクに関してですが、すでにメーカーで用意されている色「のみ」で完結する場合は極めて少ないと思います。「こんな色にしてください」というお客様の要望に応えなくてはならなくなるので、その都度インクが余り、それを捨てずに保管して行くととんでもない量のインクが占拠する事になります。
スクリーンプリントの原理上、プリントには余分な量のインクが必要ですから、作業に取りかかる前にどんなに緻密な計算を行ってもインクは残ります。「次回に少しでも使えたら」といって残したり、調合方法をレシピとして残さず色あわせするために残したりするからです。
水性バインダーの場合はそれほどでもありません。基本、水性バインダーは劣化が早いので、いくら密閉して保管しても、次回には使用できない状態になることが多いからです。気持ちはわかりますが(笑)粘度が上がったバインダー(インク)を水道水で希釈し、粘土を下げて使うような行為は行わない方が無難です。
このような努力をする位なら、経験を積んでプリントする柄(面積)に必要となるインクの大凡の量を予測する技を身につけた方がよっぽど安全かつ有用です。廃棄するインクの金額と、怪しいインクを使用して何かトラブルが有った時の損害(金銭的なもの、信用も含めて)を比較してみましょう。
ではプラスチゾルインクはどうでしょう?
水性バインダーと違い、プラスチゾルインクは劣化の進行が極度に遅いため(決して劣化が0ではありません)残したインクも保管ができます。ここまでお読み頂ければ、オチはもうお解りかとも思いますが、概してインクに占拠されている率が高いのはプラスチゾルインクをお使いになられている方です。長期保管が可能なため、捨てることができずに何時使うか解らないインクがどんどん溜まっていきます。
こんな事偉そうに書ける立場じゃないのは解っています。何度も言いますが、私って捨てられない人ですから(笑)
- この色(のインク)を作った時、時間がかかって大変だったんだよぉ
- リピートで注文が来るかもしれないしぃ・・・
- そもそも、インクを捨てるってお金を捨てる事と同じじゃん!
などなど、色々な反論があると思います。言われるまま捨てていたら、購入するインクが増えるから、これは資材屋の策略だ!とお思いになったあなた(笑)
確かに話がここで終わったら策略かはたまた陰謀だと私もそう思います(笑)
要は、時間がかかって大変にならなくすれば良いのではないですか?
インクを捨てずに、保管するために占拠され続ける場所の土地代は勿体なくないですか?
少しでも広い(もとの)空間で作業できた方が良い仕事ができませんか?
これは水性・プラスチゾルインクに限らず共通していることですが、何らかの接着構造を持った樹脂に顔料を混合してあるものが印刷インクです。
弊社で販売しているExcaliburダイレクトプリントインクを例にとります。
蛍光色を含めて49色有ります。これらのインクを混合して別のインクを作ると、なかなか作れない色があるでしょう、きっと。
近場のお客様に朝一番で訪問すると、インクを混合してこねこねしていました。市内を一回りしての帰り際にもう一度寄ってみると、今度は別の件でしょうか?またこねこねしていました。しかし、聞いてみると実は朝からずっと色作りしても出来上がっていないのでした。超、効率が悪い(笑。。。)
本来、ダイレクトインクのようにロダマインレッドだのアクアだのと言う名前のついているインクは、それらのインク1発でプリントする事を前提としたインクです。色見本一覧を店頭に掲げておいて「どれで刷りますかぁ?」というパターンです。ただ、同じ樹脂なんですから、混ぜて使うことも可能ではあります。
そして実は、混ぜて色を作るインクは別に用意されています。そして混ぜる比率はメーカーで公開しています。Excaliburには551シリーズがそうですが、こちらは混合比率を調べることができるPC用(Windows用)ソフトが用意されていますから、パントンカラーナンバーさえ解れば、朝からずっとこねこねする必要はありません(笑)
「いいんですよ、うちは。インクを保管するも何も、インクは版の上に乗せたまま版上で保管しますから(笑)保管場所は増えません!」
などとおっしゃる方がいらっしゃいます。どこぞのどなたかから聞いた方法か解りませんが、おやめになった方が賢明です。
- プラスチゾルインクは徐々に可塑剤とPVCが分離します。て事は、分離した可塑剤がスクリーンメッシュを痛めます。
- 同じく、分離した顔料がスクリーンメッシュ(ポリエステル・ナイロン繊維)に固着します。
- クリーンルームでプリントしているならいざ知らず、埃の混じったインクをプリントするのでしょうか?(笑)
帰ったら部屋のいらないものを捨てなくちゃ(笑)