隠蔽性の違いはなぜ起きるかー実はブリード(再昇華)していた

「隠蔽性の違いはなぜ起きるかー」シリーズの最終回です。

なかなか良い前説が浮かばないのでいきなり本題です(笑)

 

お問い合わせを頂く際に

「色が沈んじゃうんですが、濃い白インクはありますか?」とか

「色がくすむんですが、硬いインクはありますか?」

などと言われる場合の多くが・・・と言うか、ほとんどの場合、逆に

「印刷されようとしている生地の材質は何ですか?」と質問させて頂いています。

そして、大概の場合は「ポリエステル(100%、混紡)です」というお答えが返ってきます。

 

話が本題からそれてしまうので、ごく簡潔にまとめると、

ブリード(再昇華)とは「(この場合)生地に染色された染料が、インクの接着力によって移染し、インクの色が濁ること」を言います。

おや?熱をかけるとブリードするのでは?

と思われる方が多いかと思います。

確かに一定の温度で硬化する「プラスチゾルインク」の場合、ほとんどがブリードを止めることは不可能と言われ「だからうちは水性を使っている」とおっしゃる方もいらっしやいます。

それは、それらの生地を製造する工程で、熱を使用して染色しているため、その条件より高温を使用すると、逆に染料が離脱してしまうからです。

一例をあげますと、木造モルタルの家屋の外壁のひびを補修している箇所をご覧になられる機会が有るでしょうか?

もともと塗った外壁の色で補修したにも関わらず、色に段差ができてる場合が多く見受けられます。

これは、外壁の下地材の色が、モルタル(外壁材)にブリードしたためです。この家屋の外壁には太陽光による熱しか与えられていなかったはずで、それほど高温とは思えません。

染料はインクの接着力によって初期移動します。それを助長してしまうのが過熱です。

インクは生地にくっつこうとする力が有ります(だからインクは接着する)。力という物は、くっつこうとする力に対して「離れようとする力」が同時に存在します。生地は離れよう離れようとします。そして、生地にしがみついていた染料が、我慢しきれなくなってインクによって引き離されてしまう。

これが「ブリード(再昇華)」です。

結論を言うと、ブリードしやすい生地はどうあがいても100%ブリードを止めることはできません。

水性バインダーで、綿100%の生地と、ブリードしやすいポリエステル100%の生地に、同じ条件で印刷・自然乾燥して放置してみて下さい(数日から数週間)。

ポリエステル100%の方「だけ」を見ている分にはブリードしていない様に見えていても、綿100%のものを並べて見ると確実にブリードは進行しています。

全然簡潔にまとめていませんが(笑)

このようにブリードは誰にも100%「は」とめられないので、「色が沈む」「色がくすむ」のも止められません。

いくら印刷を重ねようと、インクの接着力が次から次へと染料を引っ張り上げてしまうのですから。

ただ、この原理をご理解いただけるとそうでないのとでは大きな違いです。これまで「濃い」インクを探していたのは間違えで、「ブリードしづらい」インクや方法を探せば良いのですから。

 

スタンスのホームページ

Web-Stance(ショッピング)のページ

 

過去の記事(ameblo)はこちら

Follow me!