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「インクの種類と選定」− 一般 −
シルクスクリーン印刷で使用されるインクは次の3種類に大別されます。
繊維製品に適したインクにUV型は存在しません。
また、乾燥条件で分けると次のような種別があります。
- 蒸発乾燥型(自然乾燥)
- 熱硬化型
- 2液硬化型
- UV硬化型
これも繊維製品に適したインクにUV硬化型は存在しません。
インクメーカーも含めて、インクを提供する側にとって、大切にするのは何よりも「印刷素材との密着(接着)」です。いくら素敵なデザインで、プリントも綺麗に行ったとしても、短期間のうちに簡単に剥がれてしまってはその価値は無いものに等しいからです。
※簡易クジ(表面にシルバーでコーティングされている)の様に、わざと容易く剥がせるインクも存在します。
例えば、プラスチックと呼ばれる素材はアクリル・ABS・ポリカーボネイトなどがありますが、これらはそれぞれ適するインクは違います。ですので「プラスチックには○○のインク」などというのは厳密に言えば間違っており、アクリルには○○、ABSには△△、ポリカには××とご紹介すべきものです。
但し、実務上ABSに○○のインクがきちんと接着する場合もあれば、××のインクが接着する場合もあります。
だからという訳では有りませんが、ある素材に密着するインクの提供を求められた際には、被印刷物のサンプルを頂き、様々な密着試験を行う場合すらあります。
但し、最終的にはプリントする方が試験を行って(試しにプリントしてみて)から本プリントを行わなければなりません。
何故なら、前回までお話した通り、シルクスクリーン印刷の基本に則った印刷を行っていても、個々人の印圧など人的要素に依存する部分がかなりの部分を占めてしまうからです。
溶剤型インクは、被印刷物の表面を溶剤で侵しながら密着するため、インクだけが簡単に剥がれる可能性は少ないのですが、水性で蒸発乾燥型やUV型インクの場合、被印刷物の凹凸の表面に乗る構造ですので注意が必要です。
さて、ここまでで「被印刷物の種類」によって密着するインクが違うという事をご説明しました。
皆様は、被印刷物が「繊維製品」の場合と、そうでは無い場合とではどのような違いがあると思いますか?
プラスチックに印刷する場合と、木に印刷する場合とでは、基本的に違うのはインクだけです。被印刷物の表面の平滑性や親水性、そして印刷図柄の解像性などによって、スキージの種類(アタック角度の違い)などを調整しなくてはいけませんが、基本的には「シルクスクリーン印刷の基本」通りです。
そして、プラスチックに印刷する場合と繊維製品に印刷する場合も同じように基本的には同じ仕組みで印刷します。変えなければならないのは、繊維製品に適したインクを選定する事となります。
繊維製品はその名の通り細かな繊維の集合体ですから、その隙間にインクが入り込みやすく、密着が割と容易となります。
木を加工して(木も繊維の集まりですが)塗装を行う場合、直前まで木の表面を研磨(やすりがけ)することで塗料の乗りを良くする事ができますが、これも実は、研磨する事によって木の表面に細かな凹凸を多く作って接着の表面積を多くしています。
「シルクスクリーン印刷の基本」その3<< >>「インクの選定」 |
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