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シルクスクリーン Q&A



全国各地のお客様から寄せられたご相談・ご質問への回答集


このページに掲載されている情報で解決できないお悩みなどがございましたら、御遠慮なくご相談下さい。

印刷インク等に関するご質問−目次−
                              クリックすると、それぞれの詳しい説明にジャンプします

1.初心者なのですが、水性インク(バインダー)・プラスチゾルインクのどちらを選んだほうが良いのですか?
2.プラスチゾルインクには硬さが違うものが有りますが、印刷結果にはどのような違いが有るのですか?
3.プラスチゾルインクで使った刷版はそのまま保管しても大丈夫ですか?
4.ナイロンボンドエージェント(撥水生地用プラスチゾルインク添加剤)は各プラスチゾルメーカー専用のものでなければ使用できないのですか?
5.水性バインダーを「水」で薄めても良いのですか?
6.撥水の生地にはどのインクを使用すると良いですか?
初心者なのですが、水性インク(バインダー)・プラスチゾルインクのどちらを選んだほうが良いのですか?

 どちらのインクも長所や欠点があります。

 水性バインダーは常温で硬化を開始するので、刷版の状態が悪かったり、作業環境の湿度が低かったりすると、版の孔を詰まらせてしまう可能性が有ります(シルクスクリーンの基礎を学んで頂く事で、程度は改善する事は十分可能です)。
 逆に、プラスチゾルインクは常温では一切硬化しないので、適正な乾燥温度を加えるための機材(購入費用)が必要になります。

 水性バインダーは日本製品、プラスチゾルインクは海外製品がほとんどです。特殊なインクになればなるほど、海外製品であるプラスチゾルインクの入手性が良くない傾向にあります。

 細かな違いは、下記に水性バインダー・プラスチゾルインクの長所・短所についてのPDFをご用意していますのでご覧ください。


 水性バインダーの長所・短所

 プラスチゾルインクの長所・短所
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プラスチゾルインクには硬さが違うものが有りますが、印刷結果にはどのような違いが有るのですか?

 プラスチゾルインクに限らず、シルクスクリーン印刷において、柔らかいインクの方が滲みやすく、硬いインクの方が掠れやすい傾向にあります。

 印刷結果、一概に粘度だけでは判断できません。刷版の解像性はもとより、お使いになるスキージの硬度、刷版と被印刷物とのオフコンタクト(隙間)、スキージを運ぶスピードなど様々な要因が影響します。

イ)細かい柄を印刷する場合は、粘度が柔らかいと柄のエッジがぼけ気味になり易い
ロ)硬いインクで印刷する回数が極度に多いと、手首・肘・肩に負担がかかり易い
ハ)柔らかいインクの仕上がりは艶有りになり易い場合が多く、完全乾燥後もタック性(ペタペタくっつく感じ)が残り易い

 テンション(引っ張り強度)の足りない刷版をお使いになると、硬いインクはプリントしづらく感じられます。このような場合に、柔らかいインクを使う事で回避しようとする事は、根本的な解決法ではありません。
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プラスチゾルインクで使った刷版はそのまま保管しても大丈夫ですか?

 水性インク・プラスチゾルインクに関わらず、刷版から全て除去して下さい。

 水性インクは版の上に放置すると常温で硬化してしまい、版が使えなくなってしまいます。これに対して、プラスチゾルインクは常温では硬化しないため、版の上に放置しても大丈夫と思いがちですが、版にもインクにも悪い影響を与えます。

 新聞紙など紙質の上にプラスチゾルインクを放置すると解りますが、プラスチゾルインクはPVC(塩化ビニル)と可塑剤に分離し、可塑剤が紙質に吸収され、インク自体が乾燥したペンキのようになってしまいます。
 プラスチゾルインクはその名の通り「ゾル」、液体媒質の分散系で、PVCと可塑剤は決して化学結合している訳ではない為です。

 使い終わったインクは必ず、密閉容器に戻して下さい。
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ナイロンボンドエージェント(撥水生地用プラスチゾルインク添加剤)は各プラスチゾルメーカー専用のものでなければ使用できないのですか?

 プラスチゾルインクは助剤を添加する事で、ナイロン繊維に密着するインクとして作られています。但し、プラスチゾルインクの構成要素であるPVC(塩化ビニル)と可塑剤の組成割合が、メーカーごとに違いが有るため、助剤を添加する分量に違いが生じます。

 又、日本国内の「ナイロン素材」と言えば、ほぼなんらかの撥水加工が施されている事に比べ、海外の「ナイロン素材」はまるで撥水加工がなされていない場合が多いのが現状です。
 インクメーカーとしては、撥水加工されている繊維への密着までは保証しておりませんし、他社プラスチゾルインク製品への使用までは保証しません。

 アメリカ・カナダで作られる正規のナイロンボンドエージェントは、各社の製品で粘度や、硬化に要する時間等に違いが見られますが、いずれの製品も、水分を吸収すると劣化(硬化)が始まります。容器を何度も開閉する事で、空気中の水分を吸収・劣化(硬化)しますので、製品ご購入後は、小さな密閉容器に小分けして、冷暗所に保管する事をお勧めします。

 添加剤ナイロンボンドエージェントはプラスチゾルインクに混合・撹拌後8時間から36時間以内に使い切るようにして下さい。
 それ以前に異常な硬化が起きたり、それ以上の時間が経過しても硬化しない場合はナイロンボンドエージェントとしての効果は発揮しません。

 以上の内容を踏まえた上で、お客様の判断と責任の上で他メーカー同士のプラスチゾルインクとナイロンボンドエージェントを混合してお使いになられる場合、弊社まで実績のご確認を頂ければ適切なアドバイスをさせて頂きます。

※正確には、製品の容器を完全に密閉していても経時変化で劣化します。大量・安価に輸入された製品が長期間在庫として保管されていた場合には、ご購入時点で相当量が劣化している場合があるようです。その場合は購入店に交換を請求して下さい。
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水性バインダーを「水」で薄めても良いのですか?

 水性バインダーは「水系」の樹脂を使用したインクですので、「水」を混合して粘土を低下させることは可能「では」あります。しかし、同時に接着力を著しく低下させますので、繊維製品への密着度合いは保証できません。

 印刷中の水性バインダーの版の目詰まりが起きる場合は、まず、スクリーンメッシュの張り具合(テンション)を高めることはできないかを検証してください。
 又、インクの粘土の上昇で「インク返しが行いずらい」などの場合は、インクの乾燥を遅らせる助剤(密着度合いに影響は及ぼしません)がありますので、そちらをご利用ください。

 プラスチゾルインクの場合も同様で、テレピン・灯油系の溶剤で薄める事は危険です。
 又、プラスチゾルインクを希釈する専用のレジューサーを添加することで、粘度を低下させる事ができますが、インクの隠蔽性は低下します。又、通常の乾燥j間よりも長い時間を要する事になります。
 
撥水の生地にはどのインクを使用すると良いですか?

撥水には濡れ性が様々(撥水の性能が様々)です。まず、生地に水滴を2〜3滴垂らしてみて下さい。水滴にならず染みこむ様子ですと撥水が弱く、コロコロと玉状になる様子ですと撥水が強く加工されています。

一般には「撥水生地には水性は使用できず、油性でしか対応できない」とされています。
又、印刷後の乾燥方法は「自然乾燥は無理であり、強制熱乾燥が必要である」と言われています。

本来、完全な(インクの)密着性を求めるのであれば、撥水布専用のバインダー(水性)若しくは溶剤型のインクを使用すべきです。
が、綿・綿ポリ混紡のプリントに使用しているインク意外に、専用のインクを用意したくはない場合も多々あると思います。
そのような場合に「硬化剤」なる物を混合して使用する事で「ある程度の撥水」までは対応できる事があります。

 インクの密着性能は、弱撥水から順に下記の通りとなります。

撥水弱 → (オールマイティーバインダーRipe3硬化剤)もしくは(プラスチゾルインクナイロンボンドエージェント) →
       (アクアPTインクアクアPK硬化剤) → (RIPE1インクRIPE1硬化剤) → (RIPE2インク+RIPE2硬化剤)
                                                                 → 撥水強


詳しくは、印刷生地や乾燥機材などお聞きかせください。


※撥水は異物を寄せ付けない為の濡れ性加工です。「このインクで絶対に剥がれません」という解答はありません。最終的にはお客様が印刷確認のうえお使い下さい。