ダイレクトプリントインクとミキシングプリントインク

前回の記事中で「弊社ではプラスチゾルインクにも11色を混ぜ合わせて作るインクをご紹介していますので、水性バインダーと同じ理屈でプリントインクを作る事が可能です。」とお話しました。という訳で、今回は表題の通り、ダイレクトプリントインクとミキシングプリントインクの違いについてです。

水性(バインダー)の場合、最終的なプリントインクは「バインダーに顔料を添加して出来上がります」とご説明すると「???」の様になられる方が多くいらっしゃいます。

なるほど、世の中に多く出回っているプラスチゾルインクも、はたまた市販の水性インクも、お手元に届いた時点でそのままプリントに使える状態になっています。水性で言うと「○○くん」のインクや「ダ○カラー」の様なインクはこれです。プラスチゾルインクもおおむねがこれです。
勿論これらのインクも、それぞれの適当な量を混ぜ合わせて新たな色を作る事は可能ですし、同じタイプのインクを混ぜる場合はメーカーも保証してくれます。
ただし、本来は、単独の色見本を掲示しておき「この中からプリントカラーを選んでください」とするのが前提のインクなので、どの色とどの色をどの割合で混合すると何の色になるかは誰にも解りません。混ぜる方が色々トライ&エラーして頂く他無いという訳です。

このようなインクを「ダイレクトプリントインク」と言います。このインクをそのまま「ダイレクト」に刷ってね。みたいな感じです(笑)

これに対して「十数種類のインクを混合して、あらゆる色が作れます」というインクを総称して「ミキシングインク」と呼んでいます。

弊社の製品でいうと水性バインダーは「オールマイティーバインダー(若しくはアクアゾルインク)+水性顔料(P)シリーズ12色」、プラスチゾルインクは「Excalibur Pantone  Matching System Color 551」です。

前者の場合は、水性バインダー3種類と水性顔料12色を適当な量で混合し、後者は11色のプラスチゾルインクを適当な量で混合する事で数百種類のプリントインクを作る事が可能です。

という事は、ユーザー様の様々なプリント色を割と楽に叶えられやすいのはミキシングインクではあります。そして、ダイレクトプリントインクも、そもそもはミキシングインクで作り上げているものです。

この2つのタイプのインクは優劣がある訳ではなく、どちらのインクが自分に適しているのかでお選び頂くのが正しい方法です。

大昔、私が小学生だった頃(笑)図画の授業の際に、デッサン(下絵)を書いている時に「○○くんはじょうずですねぇ~」と先生に褒められたのは良いのですが、絵の具で色を付けると、同じ先生に「あれ?○○くん、さっきの絵はやめちゃったの?」と。当の絵に色を付けたら滅茶苦茶になってしまったのですね(笑)
そんな苦い思い出を持っている私は、こんな商売をしているにも関わらず色に関してはトラウマを持っています(笑)
そんな私の様な人にも優しくできるよう(笑)弊社のミキシングインクには、それぞれ混合の割合表があります。

 

水性の場合はこちらをご覧ください

プラスチゾルインクの場合はこちら

 

最後に「混ぜたものは変化が始まる」というお話を一つ。
インクに架橋剤(水性の場合)やボンド(プラスチゾルインクの場合)を混合した際には、ある程度の速さで劣化・硬化の進行が進みます。では、インクそのものはどうでしょうか?

極端な話、水道水や純水であっても、真空パックではない限り空気に触れる事で劣化は始まりますよね?空気中の酸素・二酸化炭素・窒素のみならず、空中を浮遊しているものが混ざってしまうからです。
インクの場合、樹脂という物質にすでに顔料という異物が混合されているのですから、製造された時点で劣化が始まっています。
極論を言うと、樹脂そのものもじわじわと劣化は進行していますが、この使用期限はメーカーが保証してくれている訳です。

水性バインダーとプラスチゾルインクを比較すると(勿論密閉保管で)プラスチゾルインクの方が持ちは良いです。しかし、上記の通り、次第に劣化は徐々に進んでしまうので、必ず使用後のインクは密閉容器に戻して下さい。

プラスチゾルインクは塩ビを可塑剤で柔らかくしているものです。熱によって可塑剤を不在にすることで硬化するインクですから、熱をかけない限り絶対大丈夫です、と言う方がいます。
だからと言って、使い終わった版にそのままインクを放置してはいけません。明日又プリントを再開するならまだしもですが。

一度、新聞紙にプラスチゾルインクを放置して1時間後に見て下さい。あっという間にカラカラになっています。版はUV硬化型の感光剤や、テトロンのスクリーンメッシュですから同じ事にはなりません。でも、数日置いてみて下さい。
インクにはそれほど変化は見られないでしょうが、その版を「もう二度と同じ柄をプリントしないから」と思って落版(再生)しようとしたら後悔します(笑)

触れ合ったものはお互いがお互いに影響を及ぼすのですから。

 

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