詰まらない水性バインダー

ここ最近は、お客様から頂いたご相談が多く、そこから「を!これはブログに書かねば」というネタが発生しているので、ジャンルがあちこちに飛んでいます。しばらくの間ご勘弁を願います。

で、今日のお題はハイブリッド・インク(笑)です。

繊維用、一般の綿100や綿ポリ混紡、ポリエステル100へのインクには、大雑把に言って「水性バインダー」と「プラスチゾルインク」が有ります。
これら2つのインクの短所・長所についてはこれまでも何度か書いてきております。

簡潔に言うと、水性バインダーの場合は「版が詰まる可能性がある」、そしてプラスチゾルインクの場合は「出来上がりの風合いがゴムゴムしている気がする」です。

そこで出来上がったのがハイブリッド・インク「アクアゾル・シリーズ」です。

勘違いして頂きたくないのは、水性バインダーにも「ラバータイプ」のバインダーが有るので、濃色生地にきちんと隠蔽性を保った印刷ができるという事です。そして、その上、プラスチゾルインクの印刷面と比較してしなやかだという事です。
「水性プリント」という言葉から「淡色生地(白)にしかプリントできない」と思い込んでいらっしゃる方はお気軽にご相談ください(笑)

そして、もう一つ勘違いして頂きたくないのは、弊社は水性・プラスチゾルインクのいずれかを強力にお勧めしている販売店ではないという事です。
繰り返しになりますが、それぞれのインクには良いところもあれば至らないところも有りますし、使われる方の環境によってもお勧めすべきインクは変わりますので。

さて「アクアゾル・シリーズ」は簡単に説明すると、熱硬化型水性バインダーです。

要は、プラスチゾルインクの「熱硬化型=決して版詰まりしない」という長所と、水性バインダーの「印刷後のプリント面のしなやかさ」の両方を実現したインクです。
ただ、熱硬化型ではありますが、熱硬化せずに自然硬化しようとすると何日も放置しておかないといけない「超超超遅乾インク」です(笑)
「こんなんじゃ仕事にならんぞ!」というインクです(笑)
ですから、スキージストロークの間にお客さんが来て、一緒に煙草を吸いながら1時間も版を放置すると・・・・詰まります(笑)
プラスチゾルインクを使用中で、そのような場面にたびたび出くわすような方は気を付けてください(笑)

これからプリントを始める方に「どちらのタイプのインクが良いでしょうか?」と私が問われた場合

【水性バインダーをお勧めするのは】
・依頼主の要望に合わせて様々な色を作り替える場面が多い方
・設備など初期投資にあまりお金をかけられない方

【プラスチゾルインクをお勧めするのは】
・店頭にカラーチャートを掲げ、プリント色を限定する方
・設備など初期投資にありあまる資金をお持ちの方(笑)

という基準をお話します。

水性バインダーは、ホビー用途でない限り水性バインダー=糊に、顔料=色を混合してから使用します。ですので、理論上はあらゆる色のプリントインクを作成する事が可能です。
これに対して、一般的なプラスチゾルインクは、既に糊+顔料の形で「○○ブルー」とか「××レッド」のようになっています。勿論、混合して使用する事に問題は無いのですが、どれとどれを混ぜればどの色になるという仕組みにはなっていません。
弊社ではプラスチゾルインクにも11色を混ぜ合わせて作るインクをご紹介していますので、水性バインダーと同じ理屈でプリントインクを作る事が可能です。

このブログで何度も書いている通り、シルクスクリーン印刷の特徴・原則であるインク返しを行えば、あくまで副次的な効果ですが版の乾きを抑える事が可能です。あくまで「副次的」ですから、乾燥が超超超遅い「アクアゾル」を使って頂いた場合でも、インク返しをして頂くのは基本です。

ただ、これまでプラスチゾルインクの作法に慣れてしまっている体で(笑)いきなり水性バインダーでインクを返そうというのも少し大変かもしれません(笑)
ただ、水性プリントのしなやかさが欲しいという、少し我儘な貴方(笑)

一度アクアゾルインクをお試し頂くのも面白いかもしれません。

 

はい、ここからは余談です(笑)

先にも述べましたが、弊社では水性バインダー・プラスチゾルインク、どちらのインクも良いものだと思っています。それは適材適所だからです。

ただし、現状で弊社にお悩みのご相談が多いのは次の2点です。

1.「まだ上手ではなく、すぐ版を詰まらせてしまうので、詰まる事がないプラスチゾルインクってどうなんでしょうか?」
2.「プラスチゾルインクを使っているのですが、色々上手く行かなく、買った所に相談しても解決しいないので水性にしようかと・・・」

1の場合、詰まらないようにする方法をアドバイスします。多くの方は版のテンションに理解が進んでいなかったり、先に述べたインク返しをご存じなかったり。はたまた、版を被印刷物にベタ置きしていたりする方が多いからです。
偉そうに言う訳ではないですが、解決策を探す前に他のインクに逃げても結果はそれほど芳しいものではないと思います。

さて、2の場合。
「そもそも、その(プラスチゾルインクを)勧めた(販売した)所に解決して貰いましょう!」と言います(笑)
だって、売る時には良い事ばかり言ったんでしょうから、解決策をきちんと提示してくれると思いますし、できなきゃ売るな!と思います(笑)
でも、私はそんなに意地悪でもないですし(自分で言うなよをい)、弊社の売りは「他社製品についてのお悩みでもご相談下さい」なので(笑)できうる限りお答えしています。

初めてご相談を頂いて、それから何度か回を重ねると次のようにおっしゃる方が多いのです。

「いやぁ、まだまだ(シルクスクリーン印刷を)初めて間もないもんで、いろいろ問題が起きて(買った所に)相談しても解決できないと『そんなもんなんだぁ・・・』と思いまして・・・」

そりゃそうです。色々購入した時も、相談相手をやっとこ見つけて「さぁ!やるぞ」と思ったはずです。その相談相手に「そんなもんですよ」みたいな事を言われれば納得せざるを得ない気がします。
でも、「なんか変だなぁ」と思ったら、思い切って全く別のものを使ってみるのも手ですよ。

なんか最近彼女とうまく行ってなくて、アクセサリーをプレゼントしてみたが・・・でも花をプレゼントしたら上手くいくようになった・・・とか。違うか(笑)

 

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